きもの選びは友達探し、あなたの笑顔に癒される by かずまさ

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第744号 2013年8月9日「単衣の魅力 No.9」

前回、着物に季節感のない柄付けをしている話について書いた。季節のある着物は敬遠されるわけだ。レンタル屋さんはこのあたりのことを考え、季節感のある着物を貸出しするなどの特徴を出せば個性的だ。後日、写真を見た時に、桜だったら『そういえば、このお嬢さんは4月初めの結婚だったね。』とか、アジサイなら『6月か!』とか、その時の思い出が蘇る。夏なら、トンボ、風鈴、鮎とか夏らしい柄でまとめてほしいね。
さて、話は変わるが、先日、『浴衣のレンタルある?』という電話があった。この2~3年、こんな電話が多くなった。祇園祭も終わったが、京都駅には着用後のプレタ浴衣が捨てられているという話を聞いたことがある。安価なセットを購入し、その日だけ楽しめればいいという考え方が現代なのか?
当店では、購入者には今夏中、何度でも着付無料というキャンペーンを開催している。利用していただきたい。

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第743号 2013年8月6日「単衣の魅力 No.8」

先日、お客様からの問い合わせで、『7月末の結婚式の際、菊の柄の訪問着はダメですよね?』というのがあった。『7月末に合せを着るわけですね。』・・・こういう質問は実に困る。基本的にはダメに決まっているからだ。
会場の空調設備の発達で、四季がなくなってしまった。真夏なら、本来、絽の訪問着を着なくてはいけない。黒留袖も、夏用の絽のものがあるが、ほとんどの方は冬用を着用されているのが実情だ。その場で着て、用が済めばすぐに脱いでくるのだから、冷暖房が整っていれば季節など考える必要はないわけだ。我々業者も、いつの間にか夏物の存在を忘れてしまっていて、年中、冬物を販売するようになってしまった。礼服は、年にそれほど着用するものでもないから、昔でもレンタルは多かった。夏の葬儀に、冬物を着装される方はいないと思うが、時期的にはそうも言えない場合もある。
7月末の結婚式の席に、菊の柄の合せ着の訪問着を着るという話、結局どうされたのかはわからない。ただ、時期を考え、質問されてきたその方の感覚について、我々業界人はもっと真剣に考えなくてはいけないと思う。季節感のない着物が、最近特に多い。お祝い着は、いつでも着られるよう四季の花を付ける。特定の時期のお祝いのためだけに別誂(あつら)えする。それは、やはりおしゃれの基本だと思うのだが・・・。

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第742号 2013年8月2日「単衣の魅力 No.7」

単衣の着物というと、浴衣くらいしか思いつかない方が多いと思う。卦(け)の日に着用する場合、盛夏に絹をというのなら、紗の着物や絽小紋、それ以外の時期なら、単衣の紬や小紋になる。織物(先染の着物)の産地は日本中にあるが、有名なところでは、十日町、塩沢、小千谷、村山大島、結城、西陣、本場泥大島等々。常に着用される人が少なくなり、着る物から持つ物・見る物に変わってきた。普段に着装されている方からすれば、いろいろな産地の風合いを楽しむことができる。これからは、我々が、きもの文化を残すのか、残さないのかを決める年代に当たる。着ない物は結局は消える。
さて、女物のことばかり書いてきたが、男物はどうか。種類としては、女物以上にある。なぜなら、日本は男社会で成り立ってきたからだ。例えば、江戸小紋は、かつては裃(かみしも)小紋から生まれ出たものであり、その柄を見れば、どこの生家の者かがわかる。つまり、紋と同じ意味合いで作られたものなのだ。これも必要がなくなれば、着用しなくなり、そうなれば消える。幸いにも、時代の変化の中で、女性用として、この何十年と無地着物の代用として着用されたり、おしゃれ着として生き残ってきた。日本人の感性は、すばらしい。
時代の進歩は早い。早いから、知らない間になくなってしまうものは多い。残したいものばかりなのに・・・。

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第741号 2013年7月29日「暑中見舞い」

741~~~~~~~~~~~~~
夏は 赤帽の海水浴
まったく泳げなくて 恥ずかしかった
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水が恐くなくなると
プールが楽しく 一日中遊んでた
今度は 飛び込みができない
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ひとつずつ 大人になる 強くなる
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暑中お見舞い申し上げます
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            平成25年 盛夏

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第740号 2013年7月26日「単衣の魅力 No.6」

今までに、すでに先人たちがやってきたことだが、浴衣の着装に個性を出すには、帯結びに工夫を凝らすこともひとつの方法だ。呉服屋や美容院で着付けてもらう人も多いと思うが、蝶結びにするなら、片方の羽根が少し大きくなるように結んだり、垂れを片方だけ長くしたり、羽根の上に髪飾りを付けたりするのも可愛くて良い。両面使用できる半巾帯なら、少し折り曲げて違う色を出すと、また違った感じになる。いっそのこと、思い切って前結びはどうか?前にも後ろにもポイントをつける方法も考えられる。結び方に変化を加えたら、今まで誰もしたことのない帯結びになるかもしれない。考えるだけで楽しい。前回にも書いた『大人の雰囲気』で迫るなら、紗八寸帯も洒落ている。ちょっと清楚な感じで着こなしてほしい。
合わせ方も難しいけど、色だけで目立たせるなら、無地一色の浴衣なんていうのはどうだろう。これは、別染をしなくてはいけない。色を決めるのも難しいので、今からというわけにはいかない。ただ、注染や型染とは違うから、1反でも染められ、色さえおしゃれなら結構いけるかもしれない。(まだ経験したことはない)一度チャレンジしたいなぁー。濃いグリーン?いいねぇ。背中や右肩に大きく(5cmくらいかな?)刺繍で1柄入れようか?おっ!いいねぇー。

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第739号 2013年7月19日「単衣の魅力 No.5」

近ごろ、浴衣の着装姿が『オシャレだね!』って思う人が多くなった。ヘアーメイクでスタイルを変化させたり、髪飾りをポイントにしたり、夏らしい工夫が良い。
今年の正直屋お勧めの、他人とは違ったおしゃれは、紗の半巾帯。これは、デパートやショッピングセンターでは、あまり見かけない商品で、見た目にも涼しく映る。
帯揚げや兵児(へこ)帯を使用した着方は、数年前から見られたが、今年は、帯締めを利用する方も多い。
『わっ、大人!おしゃれ!』と思わせるには、粋にすること。だが、これは難しい。その人のセンスや個性が問われる。バランスが悪いと、『ダサい!』ということになってしまう。
下駄(げた)も、近ごろは、靴擦れしにくいものが出てきた。巾着をポイントにされる方もある。
可愛くするか、大人の雰囲気でせまるか、その日の気分で遊ぼう。いろいろ勉強してください。個人的には、満艦飾のド派手より、ちょっと粋なスッキリ系が好きだけど・・・。

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第738号 2013年7月16日「単衣の魅力 No.4」

今年の夏は、本当に暑い。35度が何日も続くと、夜は寝られないし、昼もクーラーの中に一日中いるので身体がだるい。
ただひとつだけありがたいことは、浴衣がよく売れることだ。近ごろは、プレタ浴衣が主流だが、やはり、仕立上がりの品よりも、別誂(あつら)えのほうが、身体にフィットして、着姿もきれいだ。本店では、反物での販売が多い。インターネットなどでは、プレタ浴衣は2,000円くらいからがよく売れているそうだ。時代の流れだから仕方がないが、たくさんの人に着用していただきたいと願っている。
最近は、化学繊維でも水分を吸収する(つまり汗を吸う)品もあり、特に日本製はブランドや素材を工夫することに力を入れて、値段の安い外国産に対抗している。商いも、大店では『きもの売場』ではなく『水着売場』に変わった。蝶・水玉・鮎・すいか・風鈴・団扇(うちわ)・紫陽花(あじさい)・メダカ・蛍(ほたる)など、懐かしくて季節感のある柄で日本の夏をこだわる。『涼しそう!』と言わせるスタイルは、この暑い日々、目に優しい。

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第737号 2013年7月12日「単衣の魅力 No.3」

737浴衣といえば藍染。藍一色のものや、白地に藍色の柄の入ったものは、飽きがこないので人気が高い。帯を替えることで、長年にわたって着用でき、おしゃれも楽しめる。すっきりしているので、暑苦しく見えない。
そんな藍染の浴衣に、トンボやひまわりの柄が染められていると、季節感も出て輝く。花火や金魚、朝顔、波など、日本人は着物の色や柄で目を楽しませ、夏の暑さを凌いだ。お祭りでは、その地域の人たちで、揃いの柄を染め、豊作を願い、恵みの雨を願って踊った。
生地の工夫として、綿の糸に麻や絹を入れたりした紅梅(こうばい)という織り方がある。肌にサラッとして、とても気持ちがよい。また、織りを工夫した羅(ら)織とか、紗(しゃ)や絽(ろ)とか、涼しく感じさせるために、透けて見えるような織り方もある。
着物文化の歴史は古く、過去の日本人の感性は、夏の暑さを楽しんできたようにも思われる。現代は、エアコンの普及で、暑かったり、寒かったり、ジメジメしたりという、その時々の気候を常に体感することはなくなってしまった。この夏、昔の生活を一度体験してみるのも、楽しくていいかもしれませんね。

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第736号 2013年7月8日「単衣の魅力 No.2」

以前にも、単衣の着物のことを書いた。
単衣といっても、素材は、ウールもあれば、綿やポリエステルなど多種ある。着用すればわかることだが、気温が30度近くになると、ウールでは暑い。だから、単衣を着る時には、素材選びがポイントになる。温度や湿度、風の具合で寒く感じたり、暑く感じたり、部屋にクーラー等が入ると、また変わる。一日中、店にいる日もあれば、従業員と外回りをする日もある。『今日は、どの着物にしようか』と考えるのも、楽しみのひとつだ。
お客様で、着物の好きな方、興味のある方、よく勉強されている愛好家からの意見は恐い。上手に褒めてくださる方もある。今ごろの時期は、難しい。だからこそ、おもしろい。私自身の着用の楽しみでもある。
濃い色から白っぽい色に変わると、やはり夏らしくなる。涼しく感じさせるのも、それなりに工夫がいる。しょせん着るものなのだから、自分感覚でいいと思う。綿や絹、麻、上布の生地選びから、色や柄を楽しむのも、着物の魅力です。

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第735号 2013年7月5日「着物のこと」

『着物とは、直線縫いで作ってあるんだ』ということを実感するには、着用した着物を、一度、自分でたたんでみるとよくわかる。どこかの部分が膨れ上がったり、変に折れ曲がったりしない。裾(すそ)からたたんでも、袖からたたんでもいいが、慣れてしまえば簡単だ。
だから、着物というのは、布さえ余分にあれば、リフォームは簡単なのだ。例えば、袖を破ってしまったり、タバコの火で焦がしてしまったりしても、布さえあれば、また新品のような状態に戻る。
男物などの場合、大島紬1疋(ひき)という品は、長さが6丈(じょう)あり、着物が2枚作れるだけの長さがある。これで着物と羽織を作るなら、5丈5尺(しゃく)必要で、5尺余ることになる。この残り布は、先に述べたような時のために取っておくとよい。
洗い張り(着物をほどいて一反の生地に戻し、きれいに洗ってから、また元の形に仕立て直すという作業)をするのであれば、仕立て直しをする際に、前身と後身を反対にすれば、汚れや破れで傷んでいる箇所を隠すことができる。
現在は、安価で何でも購入することが出来る幸せな時代だ。でも、日本人は、1枚の布を工夫して、何度も何度も作り直して着用してきた。着物を着用した折に、着物とはこんなに便利なものなのだということを、思い返してみるのもいいのでは?

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