きもの選びは友達探し、あなたの笑顔に癒される by かずまさ

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第996号 2024年8月21日「日本の行事 No.2」

996戦後生まれの人の子ども・・・つまり私世代の子どもの年代は40才台が多い。それらの人の子(私からみると孫)の中には、もう成人式を迎えた人もある。
高度成長期だったということもあり、私の親世代は、競って着物を購入した。戦争体験者である彼らは、自分たちが着飾ることができなかったから、その反動があったのかもしれない。子を思う親の気持ちに応えて、喜んで着物を着てきた人たち、その反対に着なかった人、着れなかった人もある。
着ることのなかった着物は、しつけ糸が付いたままの状態でしまい込まれ、孫が着るかもしれないと残しておいても、孫も着ないとなると、ゴミになってしまうわけです。
子を思って作ったものがゴミになってしまう。しかし、それは、その親が、着物を着せる意味を教えてこなかったからではないだろうか。まずは自分が着ること、そして七五三などの通過儀礼には子どもたちにも着物を着せて、可愛い、キレイと親子で楽しんでいる家庭では、着物をゴミにするようなことはないと思う。

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第995号 2024年7月19日「日本の行事」

最近、改めて日本の行事について考えるようになった。特に『宮参り』と『七五三参り』。昔は、乳幼児の死亡率が今よりずっと高かった。だからこそ、そういう通過儀礼を日本人は大事にしたのだ。
『7才までは神のうち(神の子)』という言葉がある。数え7才まで生きられない子どもは少なくなかった。諸説あるようだが、7才までは神様から子どもを預かっていて、亡くなるというのは、その預かっていた子どもを神様にお返しする、という意味のようだ。7才を迎えると、初めて社会の一員として認められた。
昔の日本人の多くは農民だった。田畑の水は村全体で管理した。田植えや刈り取りも集団で協力して行っていたから、成長した子どもというのは、村の働き手として貴重な存在であったわけだ。数え7才で行われる儀礼は、地域社会にとっても大変おめでたい行事であったことだろう。日本人のルーツの基本は、共生の魂であり、それで日本の行事が続いているのではないかと思う。

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第994号 2024年6月9日「古着売買について No.7」

994私は昭和25年生まれだ。おばあちゃん子で、祖母から家業(着物屋)の話をよく聞かされた。戦中、戦後まもなくは、古着の売買もしていたらしい。鶴舞の地は、当時、名古屋のはずれ。結構お金持ちの人も多く住んでいて、そんなお金持ちの方が持ち込む品は質も良く、正直屋は良い古着を持っているという評判が広がり、よく売れたとか。
着物を米に替えた時代があった。だから、現在80代や90代あたりの人たちは、何かあった時のためにと着物を買っては持っていた人もあったようだ。しかし、今は違う。商品はいくらでもある。
今、古着を購入される方は、よほど着物が好きな方か、芸事や仕事で着物を着る機会の多い方々だ。一般の人が着物を着用するのは式服が多く、いくらでもレンタル屋がある。わざわざ他人が着た古着を買うことなど考えない。自分の好みに合った柄やサイズの品を探すことも大変だ。古着屋のほうも、売れるかどうかわからない品など、よほど安価でなくては在庫として置けない。難しい商いだ。

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第993号 2024年5月29日「古着売買について No.6」

長く着物業に従事していると、私が販売した着物を『買い取ってほしい』と言われることもある。とても悲しい気持ちになる。購入された時は、とても喜んで買われたハズなのです。『もう要らないから』と母親の着物を処分される方もある。これも、とても辛い。
せっかく買った着物を一度も着用されていない方に、それはなぜなのか聞いてみたいものだ。持つ楽しみや見る楽しみがあることは理解しているつもりだが、ぜひ着用していただきたい。ご主人や知人など、その姿を見たたくさんの人から、褒められ、羨ましがられた、という話を聞きたかった。着用されなかった着物が二束三文の値段で引き取られ、販売されていく。元の所有者の思い入れも知らず、お祓いをされることもなく、次の人は着られるのでしょう。喜んで利用されれば、眠っていた着物も日の目を見て輝くだろうか?

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第992号 2024年5月20日「古着売買について No.5」

昔、古着は質屋で購入するものだった。現代はインターネットの時代。一回着用したら、もうそれでよいとばかりに、振袖をフリマアプリに出品して販売する。自分のものとして何度も着たり、悉皆に出したりなんてことはしない。
楽天やメルカリで、自分のサイズに合う、安価な振袖を探して購入。使用したら再びフリマアプリで販売する。そんな若い方もある。
着物に対しての付き合い方がずいぶん変わった。持てば保管に注意を払わねばならず、対応によっては利用できなくしてしまうこともありうる。それに対して、レンタルは気軽に利用することができることから普及していった。
昔は、着物のお手入れは、夢を膨らますひとつの楽しみだった。何かのお祝い事の折には、自分が一番好きな着物を着て出掛けて楽しんだものだ。
AIを使って出席する顔ぶれを予想して、次の会の着物をフリマアプリで探す…そんな着物好きもおもしろい。

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第991号 2024年5月9日「古着売買について No.4」

古着売買の成立には、値段や品質やサイズが大きく関わってくる。
売る側は、少しでも高値で売ろうとする。買う側は、なるべく安価で品質が良く、できれば自分のサイズに合ったものを購入したいと思う。ブランド品や新品であったら尚良い。
戦前の女性の平均身長は150cm未満、現在とは10cm近くの差がある。裄(ゆき)も同じように4cmほど違う。大概は、自分好みの色柄だけを見て購入してしまうので、直し代金が高額になってしまったり、中には直しのできない品もあったりする。
高品質の品を安価で手に入れたいと思うなら、まずは和服のことを勉強し、メジャーを持って古着屋さんに行くことだ。そしてTPOも考えた上で、自分自身が納得のいく買い物をしてください。

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第990号 2024年4月29日「古着売買について No.3」

昔の古着屋さんというのは、寺社の近くにあり、お祓いをした着物を売っていて、そういうお店から買ったものだ。お祓いをするのは、災いや呪いといったものを恐れたからだ。今でも、名古屋の大須観音周辺には、古着屋さんがたくさんある。
古着は、よく知った人から譲り受けるのが一番良いと思う。その人の幸運も一緒にいただけるかも…。譲り受けた着物は、洗い張りをしたり、裏を替えたり、自分サイズに仕立て直したりすれば、自分にしっくり馴染んでくる。生き返った着物を着て、譲ってくれた人にその姿を見せれば、きっと喜んでくださることだろう。
着物は直線縫いで作られているので、時々は風に通すなど丁寧に管理していれば長い間着られるのだ。着物の成り立ちを学ぶことは、節約の心を学ぶことにもなる。茶道・華道など日本の芸術文化も学んで、その時には、着物を着てはどうだろう。
簡単に処分してしまうのではなく、もっと着物を利用してほしい。

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第989号 2024年4月19日「古着売買について No.2」

私が正直屋で働くようになって48年が過ぎた。初めは、商品知識も乏しく、固定客のサポートなどできるはずもない。やることもないので、広告チラシを多めに印刷してもらい、成人名簿のお客様廻りを始めた。畳紙(たとうし)・文庫を見れば、その店の歴史がわかる。その頃の正直屋の畳紙には、当時、南区にあった大磯店の名が印刷されていた。
商いのほうも、年季を積むごとに取り扱う商品の種類も増えていった。主にやっていたのは、娘さんの『こしらえ』だ。娘さんの結婚式に着るために、ご自分の晴れ着も一緒に購入されるお客様もあった。ほかにも、着物好きな奥様や接客業の方、それに先輩から引き継いだお客様の対応もした。
お客様から古着を処分したいので見て欲しいとの依頼を受けることがある。多くは、お母様から譲り受けた着物のように見受けられる。ウール・綿(めん)・麻・ナイロン等の石油製品の常着が多いように思う。
高度成長期は、着物を着て観劇や旅行に出掛ける方もたくさんおられた。今では、買ったまま畳紙に入れっぱなしで、風を通すこともなく眠ったままの着物もたくさんある。日本人は裕福になった。

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第988号 2024年4月9日「古着売買について No.1」

988着物買取の問い合わせが多い。以前にも書いたが、古着の売買には警察署の許可証が必要で、勝手に売買はできない。また、誰から商品(古着)を買い、誰に販売したのかを記録しておかなくてはいけない。『着物屋』であっても、お客様の着物を勝手に売買することはできないのだ。
さて、これも何度も書いてきたが、コロナ感染が広がってから、着物の古着売買が停滞している。購入する方の減少で、仕入れるのをストップしている古着屋もある。古着は、お稽古事をしている方が練習着として、または接客業の方が買っていかれることが多い。景気の悪さから、新たに古着を購入しようという方が減っているのも一因だろう。需要と供給のバランスから、売れなければ仕入単価も下がる。高く買い取ってもらえないので、売るのをやめて持ち帰る人も多い。仕方がない。

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第987号 2024年3月25日「卒業式」

ご予約のあった卒業袴の着付・ヘアメイク・写真撮りがようやく終わった。気の毒なことに、コロナやインフルエンザにかかり、当日キャンセルとなった方も2名おられた。今のところ、着付やヘアメイクなどについてのクレームはいただいていないので、今シーズンも無事に終わったとホッとしているところだ。
着物を常着としていた時代とは違って、現代は、『着物を着る日=(イコール)特別な日』になってしまった。その一生の思い出となる日に、着慣れないために気分が悪くなったり、サイズの合わない着物のせいで綺麗に着装できていなかったり、なんてことがあったら残念だ。昔なら考えられないような失敗をしないよう、お客様には助言をし、担当にはその都度、指導したりしてきた。卒業式に限らず、特別な行事には着物を着ていただき、日本の伝統文化を継承していっていただきたいと願っている。
戦後80年近くになり、食習慣もずいぶんの変わりようだ。朝食はパンに牛乳、そして肉食を好む日本人が出来上がった。戦前の平均身長は男性155cm、女性145cm、現在と比べると十数センチは違う。体格も大きくなった。世界で競い合える有名なスポーツ選手も現れた。一方、薬を一番多く利用するのも日本人。これは、それだけ日本が豊かだからということなのかもしれないが。
近ごろ、世界中がおかしな方向へ進んでいるような気がする。どのような日本を作っていくのか、若い世代に託すしかないが、日本らしさは残してもらいたい。

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