第738号 2013年7月16日「単衣の魅力 No.4」

今年の夏は、本当に暑い。35度が何日も続くと、夜は寝られないし、昼もクーラーの中に一日中いるので身体がだるい。
ただひとつだけありがたいことは、浴衣がよく売れることだ。近ごろは、プレタ浴衣が主流だが、やはり、仕立上がりの品よりも、別誂(あつら)えのほうが、身体にフィットして、着姿もきれいだ。本店では、反物での販売が多い。インターネットなどでは、プレタ浴衣は2,000円くらいからがよく売れているそうだ。時代の流れだから仕方がないが、たくさんの人に着用していただきたいと願っている。
最近は、化学繊維でも水分を吸収する(つまり汗を吸う)品もあり、特に日本製はブランドや素材を工夫することに力を入れて、値段の安い外国産に対抗している。商いも、大店では『きもの売場』ではなく『水着売場』に変わった。蝶・水玉・鮎・すいか・風鈴・団扇(うちわ)・紫陽花(あじさい)・メダカ・蛍(ほたる)など、懐かしくて季節感のある柄で日本の夏をこだわる。『涼しそう!』と言わせるスタイルは、この暑い日々、目に優しい。

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