きもの選びは友達探し、あなたの笑顔に癒される by かずまさ

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第952号 2020年7月13日「着物っていいネ」

年末から今年にかけ、HP『正直屋縁』のリニューアルを久しぶりにした。新型コロナウイルス関連で、店の営業時間を短縮したり休業日を増やしたりしたが、それでも時間が空き、毎日HPのチェックをしていた。読み返してみると、説明文や流行など、現状とは異なる古い情報が書いてあったりして、直す箇所の多さに驚いた。IT専門家ではないので、これでよいのかはわからないが、こうして日々HPを更新することにより、何とかアクセス数アップに繋げたいと願う。
流行について、昨年夏ごろから特に考えるようになった。HPの検索順位の高い企業は、全国区の店が多い。資金力でもって色々な広告を出すからアクセス数が上がる。結果、検索トップページはチェーン店ばかりだ。だが、それらの店のHPをチェックしてみると、東京でも大阪でも福岡でも、まったく同じ内容。これが本当の流行か?と疑問を持つ。食べ物でも言葉でも、その地方独特のモノがある。だから、当然、着物もそれぞれ流行があった。例えば、関東では『粋(いき)』であり、関西では『雅(みやび)』であった。それが、その地区その地区の個性であったはずなのに、知らないうちに、HPでも流行が均一化されてしまった。だから、産地で作られる個性あふれる作品が売れなくなってしまったのか?原因は、価格の問題など色々挙げられるが、着物文化を残そうとするなら、個性のある作品をたくさん作り、着てもらうことだ。洋風化の時代とともに着用者も少なくなり、そういう作品を注文する人がいなくなってしまったのが根本的な問題ではある。
『着物って本当にいいネエ』と言われる日が訪れるか?と考えていたら、今日でもそう思える日があることに気が付いた。成人式・卒業式・結婚式・お正月…日本人の儀式や風習の中に、まだ着物は生き続けている。願うなら、その着姿で街の中を少しでも長い距離歩いてもらえたら有難い。たくさんの人に見られることが大事なポイントだ。

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第951号 2020年6月8日「友の会(呉友会)」

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呉友会とは、財務省東海財務局の管理する「資金決済に関する法律(資金決済法)」のもとに運営している積立金方式の友の会のことです。以前は「前払式証票の規制等に関する法律」といい、昭和50年に同業数十社が集まり、通産省の許可を得て始めた「東海呉服友の会」が前身です。当時、その会の理事をしていた前社長は、許可を取るため奔走しました。現在は、「正直屋呉友会」として、正直屋単独で運営しています。
「東海呉服友の会」を始めた頃は、南区の大磯通に支店がありました。その後、熱田区に日比野店を出店し、港区や中川区のお客様が増えました。1924年創業の鶴舞本店は、主に昭和区・中区・瑞穂区・千種区を担当し、従業員ごとに地区を割り当てて、集金を行いながら着物のお手入れなどのアフターケアのサービスもしました。昭和51年には猪子石店を出店、名東区・守山区・長久手市にも会員を増やしました。昭和59年には東郷町に和合店を出店、日進市・みよし市・豊明市・豊田市・緑区にも会員が出来ました。これで、愛知県の東部から名古屋市ほぼ全区に会員が出来たのです。しかし、時代の流れとともに、番頭たちは定年退職、従業員も減り、今では店も2店舗となりました。
以前のように、なかなか集金に伺うことはできませんが、郵便局や銀行引落も可能ですし、会員の方には定期的に案内状も送っています。着物購入時には、積立金に10%加算した額のお買い物ができます。また、着物の他、寝具・宝石・礼服・着物のクリーニング等のお支払いにもご利用いただけます。着物を着用する機会の多い方には、とてもメリットのある積立だと思います。
これからも続けていきたいと思っておりますので、ぜひご利用ください。
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(以下は2022年6月24日に追記)
商品券は、正直屋の取扱商品のほか、着付、ヘア、メイク、前撮り代金、悉皆代金のお支払いに利用できます。なお、現金での払い戻しはできません。
郵便局・銀行引落で積立をされているお客様の商品券は、鶴舞本店にてお預かりしております。
令和2年(2020)より、5年以上積立金のご利用がないお客様には、残金お知らせハガキの送付を停止しております。ご来店の上、お問い合わせくださいませ。(個人情報保護法の関係から、原則、お電話での残高照会はお受けしておりません。)

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第950号 2020年5月19日「新型コロナウェーブ No.3」

着物業界でも、新型コロナウイルスによる被害が出始めた。全国にチェーン店を持つ古着専門店や、東海地区でレンタル店や結婚式場を経営していたお店。両店ともたくさんの従業員を抱えて、一時はどんどん店を大きくされていたが、新型コロナウイルスは、そんな店をも食い潰した。
我が振袖21グループの加盟店では、中堅のお店は4月中旬からゴールデンウィーク明けまで休業にしたそうだ。我が店でも、ゴールデンウィーク期間中は営業したものの、営業時間を短縮したり、平日の休みを増やしたりして対応した。
店を開けていても、来るのは『ガーゼ』や『さらし』を求めるお客様ばかり。マスクが市場にないから、皆さんご自分で作るのだろう。創業97年の店だからこそ、そのようなお客様があるのだと感謝する。この品々も、名古屋中の問屋をあたってみたが無かった。たまたま以前取引のあったメーカーに問い合わせて、やっと手に入れたのだ。値段は、1か月前と比べるとやはり高くなっていた。
品薄だったトイレットペーパーも落ち着きを取り戻して、もう店頭に並ぶようになった。世界中が大パニック。いつまで続くのか?まったく先が見えない。
皆様には、くれぐれもお体をいたわり、新型コロナウイルスに感染しないようお気をつけください。

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第949号 2020年4月20日「新型コロナウェーブ No.2」

例年、3月の下旬ともなると、花見が最高潮の時季だ。しかし、今年は、何もかもが自粛自粛で、人の集まる場所に行くことができなかった。春の花は生き生きとしていて、桜の下で一杯やるのも男どもの楽しみのひとつなのだが、今年はそれも出来なかった。
大相撲やバスケ等のスポーツも、無観客で行っていた。感染者が増え、東京オリンピックも1年延期になった。外国人観光客が、どれだけ日本に経済効果をもたらしていたのかを、テレビでは盛んに報道していたが、確かにその通りで、消費が落ち込むと、特に余裕のない我々のような中小企業は生活が成り立たなくなってしまう。
オリンピックも、世界の現状を考えればやれるはずがない。だが、決断できなかったのは、やめれば景気がより悪くなることが解っていたからだろう。聖火リレーも延期となり、すでに日本に来ていた聖火は、1年間厳重に保管されるのだそうだ。
あとからなんて、誰でも何とでも言える。『その時』どうしたらいいか?決断することは難しい。歴史に残る大事件になってしまった。

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第948号 2020年3月21日「新型コロナウェーブ」

新型コロナウイルスの感染が中国から始まり、いつの間にか3ヵ月が経過した。IOTがこれだけ発達し『人間はどんなことでもできる』などどいう夢を見ていたが、現実はいとも簡単にウイルス感染していく。
初めは、世界中の誰もが、こんなにも感染拡大するとは考えていなかっただろうし、治療薬もすぐ出来るだろうと予測していたに違いない。日本が、中国・ヨーロッパ・アメリカと違う点は、感染速度が少し遅いということ。3月中旬、日ごとに感染者数がどっと増え、あちこちの国で外出禁止令が出された。テレビを見ていても、これだけ感染者が出ているのに、海外の人たちは、マスクもしていない。対応が遅かったのか?未だにクラスターがわからないから対応のしようがない。家から出ないでスマホやテレビで時間を潰す。といっても、食料品がなくなれば購入しなくては生きていかれない。どこの国でもトイレットペーパーやマスクが在庫切れしているのだろうか?
『コロナショック』とでも名付けられるのだろうが、現在の状況を見ると、『新型コロナウェーブ』だ。病原菌が高笑いをして自由に飛び回っている状態だからだ。
拡散させないように、まずは学校を休校に。スポーツジムには行くな!デイサービスも閉鎖。対応がすべて後手となっている。でも、日本では、これが効いているのか、海外に比べると感染者の増大を抑えている。しかし、関係する業者にとっては困った対応策だ。我が着物業界でも、卒業式袴のキャンセルで被害を被(こうむ)った。終息が見えないから、あらゆる人が困る…どうなるのだろう?

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第947号 2020年1月22日「50年が過ぎて」

着物販売に携わって50年になる。丁稚奉公に行き、帰ってきたのが25歳だった。『お前は、3年も奉公に行っていたのだから、何でも知っているはずだ』と、すぐに仕入係をやらされた。奉公先で仕入係をやっていたわけでもなく、正直屋に帰ってきても、自分の客はひとりもいない。そんな一年生に仕入を任せなくてはならない程の店だったということか?ただ、幸いなことに、番頭がいてくれたので、順次商品を覚えていくことができた。
仕入をするにあたって、(私のいた)関西で売れる商品と我が店で売れる商品の違いに驚かされた。自分が仕入れてきた商品は、どれも売れない。仕方なく番頭の選んだ品を仕入れた。1年間は同じ店で働いたが、2年目からは、新たに作った支店に彼らは移っていった。仕入は同伴してくれても、他のことは自分でしなくてはならない。番頭夫婦も、新規の店で必死に働いた。
だから、当時の問屋の係りの方々には、ずい分迷惑をかけた。安く仕入れなくては、安く販売できない。無茶苦茶な値段をつけたり、売れる色・柄もわからない仕入方なのだから・・・振り返ってみれば、反省することばかりだ。
『お前は息子だから』と、広告の担当、求人の担当、新人教育の担当、与えられる仕事は、すべてやったことのないことばかりだった。失敗続きでも、少しずつ理解して、こなしていった。番頭のお客様を譲り受け、売り上げは多少できても満足するような商いではなかったが、自分のお客様が少しずつ増えることにやりがいを感じた。その番頭たちも、13年前に定年退職した。
着物業界も、20年位前から激変の時を迎えていた。店も2店舗になった。社長になって21年、厳しい日々は相変わらずだ。17年前に緑内障になって車の運転ができなくなり、仕入の柄選びの楽しみも失った。現在は、自分の子どもくらいの年齢の女性から『叱られたり』『教えられたり』しながら自分の出来る仕事だけをやっている。
『従業員は我が子と思え!』という話を伺った。これまで退社していった従業員の中には、一生懸命仕事をしてくれた人はたくさんいたと思うが、そんな気持ちになったことはなかった。申し訳なく思う。

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第946号 2020年1月4日「謹賀新年」

946-2あけましておめでとうございます
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着物屋を手伝うようになって50年
毎日着物を着るようになって30年
今年 古希を迎えます
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本年もよろしくご指導くださいませ
皆様が健康で幸せな毎日を過ごせますように!
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令和2年 正月  舩橋一正

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第945号 2019年12月25日「こだわりの逸品」

『こだわりの逸品』というタイトルで、振袖21グループで逸品振袖を取り扱うことになりました。ここ数年の振袖の動向は、レンタルが多くなり、最近ではママ振のお客様も多くなりました。そんな現状の中、逸品振袖を販売するのです。
振袖表生地価格が100万円以上の手描き、絞り、箔使いの品や作家物の品を全国から集め、提案しようというわけです。昔はデパートや有名専門店でしか扱われていなかった高額な振袖が正直屋で売れるか?という不安もありますが、グループでメーカーや問屋さんに無理を言って集めていただいた品々です。一品物なので、売れたら終わり。また良品で安価な品を探して、提案していきたいと考えています。
振袖の他に、もちろん袋帯や長襦袢も提案します。私の場合、50年この商いに携わってきたので、振袖もいろいろな産地の逸品を見てきました。袋帯もしかりで、昔ほど生産はしてはいないものの、あのメーカーのあの商品を、と問屋さんに話し、探していただくわけです。
そんな商品を探しておられるお客様は、たくさんいらっしゃると思うのです。なぜなら、『和』のブームでテレビや雑誌等でも紹介されているからです。伝統的工芸品と言われる品々を見て、その品に触れ、袖を通したら『たまらない』。日本人に生まれてよかった・・・和服にはそんな魅力があります。まずはDMやホームページで、ぜひチェックしてみてください。
店では、アフターフォローもきちんとできるよう、この夏に二度ほど悉皆(しっかい)屋の研修もしてまいりました。まだまだ奥が深いと思います。いろいろな商品のチェック、しみ抜き、焼直し、箔直し他、続けて勉強していきたいと思います。ぜひご用命くださいませ。

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第944号 2019年11月20日「柄染め」

別誂え染めで一風を成した京都のH社が廃業し、それを受け継いで見本帳を流し、商いを続けてきた店が、令和1年末をもって柄染めをやめるとのこと。悉皆業で中小の呉服店は商いを続けている。その商いの中で、結び糸の販売から柄染に至る商い、また柄染の染替えの商いは、大きな売り上げの主たるものだ。
最近は、洗い張りから仕立直しをされるお客様もわずかになった。毎日着物を着用するような方は、大好きな柄の着物や、親や友人から譲り受けた思い入れのある着物を作り直しては楽しんでいる。それは着用者にとってはかけがえのない一枚なのだが、そんな楽しみを抱く人たちも少なくなった。それよりも、母の遺した着物を高く買ってくれる業者はいないか?と尋ねられることのほうが多くなった。悲しい話だ。
年配の方からかかる電話は、現在生産されていない商品のことばかり。たまに現物があって、その値段を示すと、時代背景のズレた値段を言ってくるから話にならない。そして、そんな方は、また2~3年すると同じ電話をかけてくる。
昔は、良い品がたくさんあった。そして、業者は喜んで物作りをしていた。生産して、それを喜んでくれるお客様の元に届き、楽しんで着用してくれるのだから、やはり嬉しい。そんな商品が、現在は古物商によって何百円で取引されている。
先日テレビで、中小企業は昨年46,000社が廃業したという報道があったが、我が業界の廃業も、その中に多数含まれていると思う。年老いたからという理由からのリタイアではない・・・愚痴を言っても始まらない。現在の日本は、そんな風なのだから。
さて、着物好きが着物を探す一案として、やはり着物好きの業者を探すことだ。古着の中から着られる品を探し出し、今の古着屋とは違った商いをされる店(どこかにあると思うが・・・)、よほどの目利きがそんな品を集めたら、楽しい商いになるだろう。古着でも結城、本場大島、紅型染、黄八丈、塩沢紬、小千谷紬、久米島紬、加賀友禅、有松絞りの専門店。考えただけでワクワクする。

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第943号 2019年10月29日「ちょっとおかしい!」

売れない商品が市場から消えていくのは仕方のないことだ。着物業界でも、これまで大量の商品が消えていった。特にウール製のものは、カジュアル品であるということと、日常洋服の生活が主になったことで、購入される人が少なくなった。昔は、小学生から高校生くらいまでの女の子は、正月にウールアンサンブルを着用して神社にお参りに行くというのが定番だった。その姿は可愛かったのに、今はあまり見かけない。
七五三参りを終えると、次は成人式まで着物には縁のない生活となる。関西では、十三参りで着用される地域もあるが、全国的に見れば、その数は少ない。
成年年齢が18才に引き下げられることにより、成人式が18才になるという話が出た。18才で行うのか、それとも20才で行うのか、各自治体の判断に任されているが、20才で行うと表明している自治体はまだ少ない。東京・大阪等の大都市はどうするのか?国や県・市から助成金をもらっている着物業界の組合等も、18才で行うことに対して積極的に反対の声を上げていない。では、全国展開している振袖チェーン店は?これらの動向を見守っていくしかない。
元に戻るが、先日、男モス長襦袢の注文があった。在庫が1反だけあった。正絹の無地単衣帯の赤と白が欲しいという注文もあった。いずれも1本ずつあった。追加でもう1本、赤が欲しいと言われ、たまたま支店に1本あった。問屋やメーカーに問い合わせてみると、モスも単衣帯の赤も生産を止めたという。在庫もないという。
時代の流れだから仕方のない話だが、幸い現在はITの時代。呉服屋が持っている在庫や、お客様のタンス在庫をチェックすれば、日本には大量の在庫が眠っているはずだ。それをデータ管理して活用すれば、ムダに廃棄処分されたりすることもなくなるのではないだろうか。特に絹(シルク)は色々なものに変えて利用できる可能性があり、考えようによっては、膨大な宝になるかも?夢物語かもしれないが・・・大切な資産だと思う。

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