きもの選びは友達探し、あなたの笑顔に癒される by かずまさ

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第823号 2014年6月20日「番頭 No.7」

親父が永眠した後、私が代表になった。
いろいろ調べていくうちに、番頭たちの退職金の積み立てをやっていないことに気づいた。親父が現役の頃は、利益もあり、就業規則規定に基づいた支払いについて、考える必要がなかったのだ。
当時、彼らは58歳。あと7年後には、その年齢に達する。何人もの番頭が、同時に退社したら、一度に何千万円ものお金が必要となる。
平成9年は、東海呉服友の会で、横領が見つかった年だった。だが、いくら売上が悪かろうが、利益が無かろうが、数年後には、その時が来る。考えただけで、背筋がゾーっとした。あわてて退職金の積み立てを始めた。
最高額が必要となる退職日が、初めから決まっているわけではない。それは中小企業の良いところ。65歳を迎えても、ご本人が、定年延長を希望されるかもしれないと思った。親父が作った規定以上の額を目標に積み立てた。
結局、一度に退社されることはなく、2年間のうちに、別々に退社された。当社にとっては、幸いなことだった。
引退された番頭たちは、現在も、元気に過ごしておられる。
長生きしてほしいと願っている。

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第822号 2014年6月17日「夏の始まり」

また、暑い夏がやって来るのですね。
小・中学生の頃は、夏が大好きだった。プールに虫取り、そして、夏休みがあった。大いに遊びまわった。
子育ての頃は、子どもたちを連れての大移動。ディズニーランドや女房の実家への挨拶回り。中年を過ぎてからは、休日になっても、することがない。
週に一度の定休日は、買い物をして、映画を見るくらい。これが、パターン化している。外出先で、蚊に刺されると、一日中イラついて・・・。だから、クーラーをつけて家にいる。
店でゴソゴソと、予定表やDMのチェック。これも毎日の仕事だ。病院では、酒を控えなさいと言われているので、暑いからと、ビールを昔のようにガブガブ飲むわけにもいかない。また、そんなに飲めなくなった。
あ~あ、何かワクワクするようなことないかなぁー。また、暑い夏がやって来るのか。
それはそうと、先日、美味しいそば屋さんで、『立山』という冷酒を飲んだけど、本当に美味だった。そばが来る前に2合あけてしまい、あとから、しっかり酔っぱらってしまった。
夏というのは、冷酒の美味な季節でもありますね。

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第821号 2014年6月13日「足袋 No.6」

821もっと早くに書くべきだったが、『足袋』と書いて『たび』と読む。以前、こんなお客様がいた。『着物を着た時に履く、白い布でできたソックスのようなもの』・・・足袋のことを言っておられたのだ。
我々の業界には、若い方にとっては難しい漢字が多い。これから夏に向けて、よく見かけるであろう『浴衣』(『ゆかた』と読む)が読めない方もある。半襟(はんえり)、長襦袢(ながじゅばん)、紬(つむぎ)等、業界人でも、読むことはできても、書くことができない人が多い。それだけ、なじみが薄くなってきているのだ。
足袋のサイズにしても、私のサイズである25cmは、昔は十半(『とおはん』と読む/十文半『ともんはん』のこと)と言ったものだ。女性なら、九三(きゅうさん)から九八(きゅうはち)が多い。今のサイズでいうと、22cmから23.5cmのことだ。
現在は、商いでも、ほどんどセンチを利用する。私より年齢が上くらいの方にしかわからない世界になりつつある。例えば、九半だど22.5cm、九七だと23cmというように、文数の寸法表示と現物のサイズとが違うように思われる。いい加減に見えるが、それで時代が過ぎてきたのだから良しとしよう。センチでは、きちんと0.5cm刻みなのにね。決められたことは、覚えるしかないのだ。
・・・
≪追記≫
足のサイズは、昔は、文(もん)で購入される方が多かったが、メートル法に変わり、センチで注文されるようになった。文でも、10進法で、サイズの間違いはない。この他にも、長さの単位では、着物は、尺(しゃく)、寸(すん)でチェックするし、重さでは、貫目(かんめ)とか匁(もんめ)でチェックする。日本独特の計測法であり、それをメートルやグラムに変換すれば、当然、小数点が出るわけです。両方を使い分けるのも難しいですね。

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第820号 2014年6月10日「番頭 No.6」

我々夫婦は、番頭に、よく注意された、というより叱られた。酒にからんだことが多かった。当然、女房より、私のほうが叱られた。
女房は、一度だけ、招待旅行での宴会後、お客様がお帰りになるというのに、玄関先で寝てしまい、こっぴどく叱られた。私は、若い女性従業員にからんで叱られた。また、出産のため女房が同行していなかった、ある年の招待旅行では、夜中に、女房のお客様が、風呂場で転んで病院に運ばれた。宴会後、部屋に戻って眠り込んでしまっていた私は、そのことを、朝、知らされた。
こんな時の番頭の決まり文句は、『自分の意識がなくなるような酒の飲み方はするな!』だった。お客様を接待する側の人間は、どんな事故が起きても対応できるように、自分をセーブし、あらゆる場面を想定して、目配りしていなくてはいけないというのだ。わかってはいるものの、ついつい飲みすぎて、よく注意された。
旅行先でも、いろいろな出来事はあったが、幸い、取り返しのつかないような事件は聞いていない。

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第819号 2014年6月6日「きものお手入れキャンペーン No.3」

ウールの仕立てを頼まれ、預かってきた。ウールの仕立ては久しぶりだ。お祝いでいただいた品だそうだが、娘さんでもお母さんでも着られそうな縞柄だ。現在、着付の練習をしておられるとのこと。今から作れば、秋にはじゅうぶん間に合う。
キャンペーン期間中だから、多少安価で仕立てられるので、ちょうど良いタイミングだった。海外仕立てのほうが安価になるだろうと思い込み、そちらをお勧めした。しかし、業者に聞くと、現在は、絹でもウールでも仕立代はそんなに大差はないとのことでビックリした。昔の感度で、安易に勧めてしまった私のミスだった。結局、日頃お願いしている仕立屋さんに無理にお願いして作ってもらうことにした。母さんからは、そんな基本的な失敗はいけないと叱られた。
昔は、ウールや浴衣は、それらの品だけ専門で縫う仕立屋さんがいた。絹の半額くらいの加工代だった。日頃、着物を着用する方が少なくなって、晴れ着しか販売しなくなり、仕立自体の需要も減り、そして、仕立屋さんも高齢化で一人減り、二人減りしていった。
私は、毎日着物を着用している。現在は、サマーウールを着て、これからは、浴衣も着用する。
キャンペーンをやってはいるものの、洗い張りも、20~30年前と比べたら少なくなった。そんな中で、お客様からの依頼があると、とても嬉しくなる。『着物っていいね。』と言ってもらえるよう、もっと努力しなくてはいけない。

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第818号 2014年6月3日「振袖DM作り No.2」

振袖21グループでは、今月も、新作振袖の下見をワクワクしながらやっています。しかし、もうDMの発送をすでに終え、テレアポをしているお店もあります。
4月から消費税が上がるということで、今年は特に過熱していたのでしょうが、そんなお店に限って、『もう遅いですよ。良い柄から売れてしまいますし、当日の着付けの予約も、早い時間帯になってしまいますよ。』と言葉巧みに煽(あお)ります。
決して遅いということはないのです。でも、そんな言葉にダマされて、慌てて購入される真面目な方もたくさんいらっしゃるのが現実です。中には、三年以上も前に、振袖の成約をされたというお客様もあります。お茶や踊りなどの習い事や、結婚式に出席するため、あるいは、19歳の厄払い等で着用の機会があるなど、理由があって早めに作られる方は別ですが、普通では考えられません。
新作が出揃うのは、前年の9~11月頃です。着用する頃には、三年前の旧柄になってしまいます。ご本人が気に入っておられるのならいいのですが、洋服だったら、考えられないことだと思います。
28年成人の方で、先月振袖を購入されたお客様が話しておられました。『あなたの店のDMは届いていないけれど、他店から14件届いています。』と。正直屋は、一年中ホームページで宣伝し、どの年齢の方でも見られるようになっています。そして、DMは、毎年6月か7月に第一回目を発送します。
どうか、じっくり考えて、本当にご自分が気に入った着物を選んでください。そして、できるだけ長時間、何回も着用してやってください。

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第817号 2014年5月30日「振袖DM作り」

817今年は、消費税アップの関係で、全体的に少し遅れがちだが、振袖の早期パンフの第一弾は、6~7月から発行される。
我々振袖21グループは、11月発行だから、今くらいは、ちょうど選品の時期にあたる。十日町の選品は、4月初旬に、もう終えている。京都は、これから。毎月の例会のたびに、選品してゆく。来年も、古典柄が中心になるが、今、グリーンや紺系の色が注目されているので、それらを加えて少し多めの選品となる。
この時期は、ブックの作成についても、様々な意見が出る。例えば、モデル選び。店の立地によっても、考え方はまちまちだ。当店なら、できるだけ有名なモデルを使いたいと思う。有名振袖チェーンのパンフに対抗できるようなインパクトがあり、なおかつ、イメージアップにもなる、できるなら誰でも知っている人のほうがいい。昨年は、安座間美優とのツーショット写真を、DMに利用した。店頭には、益若つばさとの写真も飾ってあり、それを見たお客様から、『おじさん、すごいねー!』と言われる。できれば『お兄さん』と言ってもらいたいが、これは仕方がない。今年も、そんな風に、パンフに利用できるといいな。というわけで、モデル選びというのも、大変な仕事なのだ。我々は、『このモデルは、知名度が低い。』とか、『このモデルは、もう歳がいっている。』とか、注文をつけるばかり。そして、もちろん経費は、低い方がいいに決まっている。
お客様から選ばれるDM作りは難しい。今年はどうなるか?今回の成人DMが好評だったから、来年は、もうひとつ楽しみだ。

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第816号 2014年5月28日「『正直屋縁』のスマホ版 No.4」

『正直屋縁』のスマホ版がやっと完成、稼働し始めた。
当初は、5月中旬完成の予定だったが、ひとつ直すと、また、他の箇所が気に入らなくなり、それをまた直すという作業の繰り返し。原因のほとんどが、寸法やルールなどの基本的なこと知らないことと、私のインターネットの知識のなさによるもの。それに加えて、着物の知識のない制作者のミスもあって、完成が遅くなってしまった。5月中には、最終チェックを終わらせて、本格稼働したい。
インターネットも、毎年、新しい手法が生まれ、今後、ますます難しく、厳しくなっていくだろう。個人情報保護法の関係で、名簿の数が毎年減り続けている。インターネットを利用して、店を知ってもらい、カタログ請求等をしていただく。これにより、名簿を獲得することができる。これは、生き続けるための方法として、とても大切なことだと思っている。
厳しい中で、今後も、いろいろ試行錯誤していかなくてはならない。基本は、見やすく、お客様に喜んでいただけるようにすることだ。もっと勉強したいと思います。

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第815号 2014年5月23日「番頭 No.5」

たくさんの人の前で挨拶することは、恥ずかしいし難しい。我が家系は、どうもダメなようで、親父も下手だったし、私も苦手だ。若い人でも、上手に挨拶をされる方があるが、そんな人を、うらやましく思う。
人前で話すことは、25歳の時、店主催の招待旅行が初めてだった。250人から300人の前で紹介され、挨拶をしたが、足は震えて、顔は真っ赤だったと思う。酒でも飲んでいればよかったのだろうが、そんなわけにもいかない。こういうことは、場慣れするしかないのだ。
宴会は、やはり楽しむもの。うちの番頭たちの中にも、天性なのか、司会進行や場を盛り上げることが上手い人がいた。昔は、今のように、カラオケの練習をされている人もなかった。
上手も下手も恥ずかしいも、言っていられない。35年前の宴会では、まずは、従業員が歌い、それなりに場を盛り上げた。そうしてから、お客様にお願いに回っては、何とか歌っていただいた。
初めは、その盛り上げるのが上手い番頭が宴会係をやっていたが、次第に私がやるようになっていた。下手ながらも、酒が入ると、場は盛り上がった。カラオケも、順番待ちが出るようになり、そのうちに、一番だけしか歌っていただけないような状態になった。
ある食事会でのこと、別の番頭が、進行係にいろいろと注文ばかりつけてくる。一緒に進行係をしていた番頭と示し合わせて、最後の締めの挨拶を、その番頭にしてもらうことにした。
『さあ、今夜の宴会も、これでお開き!最後に、〇〇店長に挨拶をお願いします。』
さて、どうなるか。古くからのお客様は、その番頭が、人前で挨拶など一度もしたことがないことを知っていた。皆の注目の的でした。
その番頭は、ツカツカと壇上に上がり、一声、『バンザーイ!』
そして、またツカツカと戻っていったのでした。爆笑と拍手の嵐でした。

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第814号 2014年5月20日「昔の話-私のこと・リターン No.2」

I 問屋さんの勉強会には、もう一人、K先生がいた。何も知らない私たちは、商品知識とか販売テクニック、成功例を教わり、また、成功店への訪問もした。当時、注目されていた岐阜、大阪や東京のきもの屋さんへ行き、オーナーのお話を聞いたこともあった。躍動感を感じた。その時学んだことが、今、十分には生かし切れてはいないかな?
勉強会で、いくら良い話を聞いても、出来ないことばかりだ。『あれも出来ない』 『これも出来ない』となる。無理な目標を立てても仕方がない。だが、少しは夢がなくてはいけない。毎日、少しでも前に進むことを考えた。
成功店と我店とでは、違うところばかりだ。扱う商品や客層、広告力、従業員、立地により成功する場合も失敗する場合もある。このうち、何が明暗を分けるのか、今もってわからないでいる。誰だって同じだ。だから、商いは面白いのかもしれない。
いろいろとチャレンジしてみる。今度は、こんな方法でやろう。この従業員には、今度、こんなことを教えよう。楽しみに変わった。現在は、私の一番の先生は、従業員だと思うようになった。ありがたいことです。
『学ぶ』というのは、『真似(まね)る』ことだそうです。K先生は、ある店で良い話を聞くと、その話を別の店で話し、そこで良い話を聞くと、その話を、また別の店で話した。『真似る』ことを教えておられたのかな?

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