第821号 2014年6月13日「足袋 No.6」

821もっと早くに書くべきだったが、『足袋』と書いて『たび』と読む。以前、こんなお客様がいた。『着物を着た時に履く、白い布でできたソックスのようなもの』・・・足袋のことを言っておられたのだ。
我々の業界には、若い方にとっては難しい漢字が多い。これから夏に向けて、よく見かけるであろう『浴衣』(『ゆかた』と読む)が読めない方もある。半襟(はんえり)、長襦袢(ながじゅばん)、紬(つむぎ)等、業界人でも、読むことはできても、書くことができない人が多い。それだけ、なじみが薄くなってきているのだ。
足袋のサイズにしても、私のサイズである25cmは、昔は十半(『とおはん』と読む/十文半『ともんはん』のこと)と言ったものだ。女性なら、九三(きゅうさん)から九八(きゅうはち)が多い。今のサイズでいうと、22cmから23.5cmのことだ。
現在は、商いでも、ほどんどセンチを利用する。私より年齢が上くらいの方にしかわからない世界になりつつある。例えば、九半だど22.5cm、九七だと23cmというように、文数の寸法表示と現物のサイズとが違うように思われる。いい加減に見えるが、それで時代が過ぎてきたのだから良しとしよう。センチでは、きちんと0.5cm刻みなのにね。決められたことは、覚えるしかないのだ。
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≪追記≫
足のサイズは、昔は、文(もん)で購入される方が多かったが、メートル法に変わり、センチで注文されるようになった。文でも、10進法で、サイズの間違いはない。この他にも、長さの単位では、着物は、尺(しゃく)、寸(すん)でチェックするし、重さでは、貫目(かんめ)とか匁(もんめ)でチェックする。日本独特の計測法であり、それをメートルやグラムに変換すれば、当然、小数点が出るわけです。両方を使い分けるのも難しいですね。

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