第823号 2014年6月20日「番頭 No.7」

親父が永眠した後、私が代表になった。
いろいろ調べていくうちに、番頭たちの退職金の積み立てをやっていないことに気づいた。親父が現役の頃は、利益もあり、就業規則規定に基づいた支払いについて、考える必要がなかったのだ。
当時、彼らは58歳。あと7年後には、その年齢に達する。何人もの番頭が、同時に退社したら、一度に何千万円ものお金が必要となる。
平成9年は、東海呉服友の会で、横領が見つかった年だった。だが、いくら売上が悪かろうが、利益が無かろうが、数年後には、その時が来る。考えただけで、背筋がゾーっとした。あわてて退職金の積み立てを始めた。
最高額が必要となる退職日が、初めから決まっているわけではない。それは中小企業の良いところ。65歳を迎えても、ご本人が、定年延長を希望されるかもしれないと思った。親父が作った規定以上の額を目標に積み立てた。
結局、一度に退社されることはなく、2年間のうちに、別々に退社された。当社にとっては、幸いなことだった。
引退された番頭たちは、現在も、元気に過ごしておられる。
長生きしてほしいと願っている。

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