第767号 2013年11月8日「洗い張り No.3」

本場結城紬は、洗い張りをしてから着用すると生地がやわらかくなり、大変着心地がいいそうだ。
私も単衣を1枚持っているが、洗い張りをしていないから、まだゴワゴワ状態。高級品は、もったいなくて、なかなか着用できないものだ。洗い張りをする前に、あの世行きになってしまいそう。
先日、その話を女房にしたら、『そんな着物あったっけ?』とすっかり忘れていた。昔の礼服と同じで、タンスの中で虫に食われる着物になってしまうのか?我々の年代の特徴だから仕方がない。諦めるか・・・。
噺(はなし)家は、まず、弟子に普段に着用させ、それから自分が着る、などという話を聞いたことがある。
結城紬は、着物好きにとっては、何枚も欲しくなる着物だそうだ。まず、着用した時、軽いという。手紡糸(てぼうし:手でつむいだ糸)だから、着れば着るほど糸の味が出る。私にもよくわからないが、着物好きにとっては、愛着の湧く1枚。
特に、昔は丈夫なことが絶対条件だった。親から子へ、そして孫へと何代にもわたって同じ生地を使用していくとなると、藍染のような両面使用できる先染の丈夫な生地でなくてはならない。自然と、皆が同じスタイルになった。洗い張りをして、仕立て直し、それでも使用できなくなると、子どもの四ツ身、三ツ身、一ツ身へと変化した。ボロ布になったら、最後は、パッチワークのあて布にした。
直線縫いの着物は、どこまでも便利な布なのです。

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