第766号 2013年11月5日「リップサービス」

お世辞とわかっていても、『おきれいですね』と言われれば嬉しい。
『可愛いね』 『お嬢さん、センスいいねぇ』と誉めまくるベテラン営業マンは、誉め方が上手だ。誉めることによって場が和み、自然に皆が笑顔になってゆく。何でもかんでもただ誉めるということは、ベテランはしない。ここぞという時の決め言葉として利用するから信用される。
近頃のお嬢さんは、どの振袖を着ても、『わっ、可愛い!』と自分で誉める。どれを着せても『可愛い!』の連発だ。本当は、どれが好みなのかがわからない。結局は、どれもこれも、ただ試着するだけになる。あの『可愛い!』という言葉はいったい何だったんだ?ということになる。あれもこれも着たいだけということなのか?
予算に合った品を、探しては苦労して見つけ出し、試着して、気に入っていただいた。ところが、お支払いの話になると、トーンが下がる。こんなケースはもっと辛い。何かボヤキ漫才のネタのようだ。
『リップサービス』ではなく、本心から気持ち良く商いをしなくては、一流にはなれないということは、十分わかってはいるつもりだ。

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