第601号 2012年2月7日「映画」

映画の話はここでもよく取り上げているが、夫婦でよく映画に出掛ける。
先日は、『ALWAYS 三丁目の夕日』を見てきた。第三作目となる今回は、1964年の東京オリンピックの頃の話だ。当時、私は中学校2年生で陸上部に所属していたからよく覚えている。100メートル走のヘイズ、マラソンのアベベ、日本では円谷幸吉や君原健二。映画の中では、東洋の魔女が紹介されていたが、日本中がオリンピック一色でテレビに釘付けだった。あの頃のクラブ活動は、夏休みなどは一日中学校で遊んでいる状態で、先生も今ほど注意深く生徒を監視しているわけではなく、時々見に来る程度、勉強したり、昼寝したり、ランニングしたりと、毎日みんなで何かに熱中していた。少しずつ各家庭に電気製品が増えていった時代。映画のシーンでもあったが、ひとりでテレビを独占するなんていうことのなかった時代。みんなで何かをし、みんなで喜んだ時代だったのかもしれない。近ごろは、権利の主張ばかりして感謝することを忘れてしまった。敵と味方を区別してラインを引き、利用できる人は可愛がり、そうでない者とは話もしない。昔は、八百屋さん・肉屋さん等々、ほとんどが個人経営者ばかりだった。だから会話があった。まずい品を美味しいと言えば信用されなくなった。肌と肌とのお付き合いがあった。今は便利にはなったが会話がなくなった。隣に誰が住んでいるのかもわからない時代になった。ちょっと寂しいなぁー。

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