第270号 2008年 7月2日「時の着物」

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現代の着物屋で販売している柄は一年間を通して着用できる式服が多く、当然のことながら描かれる柄は花なら四季を通した柄が描かれている。

春の花、秋の花がミックスされて柄になっていることが多く、商い上仕方のないことなのだが、残念に思っている。先日ある会の夕食会にて隣にに座られた大学の先生が、今日ホテルで附下を着られた中年女性にお会いし、「着用されていた菖蒲(あやめ)がとても綺麗だったので、ほめてあげたらとても喜ばれた。」と話していた。
菖蒲は今が満開の時期だからちょっと遅いかもしれないが、時季の商品をさりげなく着られる女のおしゃれ心を察するほめ言葉はさすが先生なんだが、その女性も考えた上での着用なのだろう、よほど嬉しく感じたのだろう。そんなチャンスは現在は少ない、花の時期を知っていなくては誉められない訳だから。

自分にもそんな機会がないかなぁ~?と言ったら、女房殿に『何を考えてそんな話を言うのかネェ』と言われそう。

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