第711号 2013年4月5日「昔の話-私のこと 番外編No.2」

老舗には、古い店としての味があり、伝統がある。良いしきたりも多い。だが、時代に合わないこともたくさんある。
正直屋も、昭和40年代から平成一桁までは、番頭を中心にした外商の店であり、商いも店で売るより展示会や外販が中心だった。和合に出店する際、古い住宅街と新しい住宅街の中間に出店した。その折に、親父、つまり社長に、『こんな場所より、駅の近くやショッピングセンターのほうがいいのに・・・』と言ったら、『お前は、番頭が信じられんのかー!』と一喝された。展示会に集客し案内するのが中心だったから、地の利はなくても良かったのだ。商店街にも入っていないので、チラシ等も単独で撒いた。これで89年続いてきたのだからえらいもんだ・・・などど思ってはいけない。
『正直屋』という屋号は厳しい。何かにつけ重石になっている。小さい頃、『うそつきやー!』とからかわれてきた言葉が、余計に重石になっている。だからこそ、今の自分がある。
現在、生き残りのための策として活用しているのが、ウェブとDM。親父が信じてきた番頭たちも、定年退職した。
自分の店の魅力とは何だろう?生命が続き、店が続く限り、私の永遠のテーマかな?『人生は、苦しきことばかり多きかな。』とつぶやいたら、母さんが、『何言っとるの!あんたは若い頃は好き放題遊んできて、年を取ったら糖尿だ、緑内障だとほざいて、仕事も他人任せで!もっと苦しまないかんわ!』だって。

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