第666号 2012年10月5日「昔の話-私のこと No.26」

平成17年秋になり、身内以外は新人ばかりになった。振袖・七五三・ゆかたをメインに新人教育をした。それまでに番頭たちが蓄えてくれていた資産を使い、後任の人材育成をすることが第一の仕事だった。だが、人を育てることは難しい。店のことを考えて仕事をする人を育てるには時間がかかる。お客様が来店されても、知識がなく説明ができない。結果、帰られてしまう。店の信用はガタ落ちだった。販売する商品を振袖だけにしても来客は難しい。DMもホームページも人も、何もかもがダメだった。顧客からは愛想をつかされ、友の会も退会される人が多く、それでも『いつかは・・・』と信じていた。店を守る難しさをイヤというほど味わった。自然と愚痴ばかりになり、目はつり上がるばかりだった。それでも、中年女性のパートさんたちを信じるしかなかった。私自身がもっと勉強すべきだった。
もうその頃、テレアポでの販売は主流になっていた。ホームページも進歩が早く、チャンスはいくつもあった。きもの業界での全国での動向チェックが甘すぎた。お客様の喜ぶ顔を思い浮かべながら商いをしてさえいれば正直屋の未来があると信じた。信じることも大切だが、もっと一年生を褒め、自発的に仕事をするように教育するだけで良かった。トップの私が一番市場把握が出来ていなかった。

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