第626号 2012年5月11日「味」

『あそこの店は味が濃い!』『辛い!』とか、自分の好みによって自然にひいきにする店ができる。昔はよく出掛けていたのに、現在は行かなくなってしまった店もある。年齢によって味に対する感覚も変わってくるのだろう。考えると食べる物も変化している。昔は肉をよく食べたが、今はそれほど食べたいとは思わない。
我々は仕事柄、外回りをしていれば、どうしても外食しなくてはいけない場合も多く、昼食時、色々な店に入る。行き当たりばったりの場合も多いが、一日の予定を考えて走り回る場合は決まった店に行く。夜や休日は、その時何が食べたいかを考え、やはり好きな店に行く。
以前からよく通っていた店の味が濃く感じられるようになった。母さんに『味が落ちたな。ご主人、身体の調子が悪いのだろうか?』などど話しながらも毎月通っていたが、それも2~3ヶ月に一度になってしまった。食後、気持ちが悪くなったりしてどうしても食べられなかったのだ。
その後、糖尿病により血糖値が上がり、一年間酒をやめた。ある時、久しぶりにその店へ行き、いつも頼んでいた煮込みうどんを食べた。昔のままの味だった。やっと気づいた。自分の体調が味を変えていたのだ。味覚とは恐ろしいものだとその時知った。

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