第899号 2016年8月10日「個人情報」

振袖の販売やレンタルの商いを行っているお店のほとんどは、名簿業者から名簿を購入し、それをもとにDMを送ったり、テレアポをしたりしている。中には、訪問活動をするお店もある。
名簿業者は、経済産業省の管轄にあり、名簿は古物扱いになるとか。当店は、平成10年頃、古着の売買をしようと思い立ち、古物商の許可を取り、しばらく商いを行っていたが、新品で販売した高額品を買い戻す折り、その品を安価で見直すことができず、結局やめてしまった。
着物というのは、着る人の寸法に合わせて作るもの。自分のためのものだという思いから、ますます愛着が湧き、大事にする。その着物は、やがて娘に、そして孫へと代々受け継がれ、物を大切にするという気持ちも同時に受け継がれていく。
着物は直線縫いなので、解いて何度でも作り直しができる。親が着た着物を子どもに着せる折には、裾回しを赤くして派手にしたり、帯を派手にしたりした。大人サイズのものを四つ身に仕立て直して、それを一つ身にして着せたりもした。
現代は、針仕事ができる親も少ない。既製品が安価で手に入る時代だ。着物を着用されない方もたくさんいる。「着物など必要ない!」とハッキリ言われるお客様もある。振袖が、すべて揃って1万円以下でレンタルできるというお店も出現。着物業界は、これからどう変わっていくのだろう?
個人情報保護法という法律の名の下で、守られているはずの情報が、世の中に溢れ出回っている。完全防御を望むなら、社会生活をやめなければ、情報は知らないうちに出てしまっている。学校、会社、サークル、町内会、病院、カードで買い物をする。そのカードの情報は? 考え出したらキリがない。

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