第1000号 2025年4月18日「弟」
私には、17歳違いの弟がいた。彼には二人の子どもがいたのだが、その子らが一番かわいい盛りの頃にうつ病を発症し、家業からも家族からも離れて、一人で生活するようになった。その後、病に倒れ、4年前、53歳で他界した。好き勝手に生きてきたから、本人にとっては満足のいく人生だったかもしれないが、我々周囲の人間は振り回されてきた。
亡くなった時、私は70歳。とっくに定年は過ぎていた。本当なら、もっと早くに社長の代替わりをしているはずだった。親父は、私が50歳の時に亡くなった。私が仕事を始めた頃から、考え方が違うからか、相性が良くないからか、父とは折り合いが悪く、生前、『社長は弟に譲るから、お前はいつでも出ていきなさい』と言われていた。番頭から言われ、店を継いだが、継いでみてわかったことがある。父と弟、二人とも後始末の出来ない人間だった。祖父もそうだったから、私の家系はそうなのかもしれない。困ったものだ。私はそうならないよう気を付けねばと思っている。
