第855号 2015年1月26日「着物のこと No.5」

和食が世界文化遺産に登録され、このたび、和紙も登録された。和服がなぜ登録されないのか不思議だ。
外国人旅行者が1,000万人を越え、その中には着物姿に興味を持つ人がいる。実際に、京都では、着物を着て観光できるというようなサービスを行っているところもある。旅先である日本で着用体験をして着方を覚え、購入して帰れば、自国に戻ってからも着用するという楽しみが味わえる。日本人自身が忘れてしまった『見る喜び』、『持つ喜び』、『着る喜び』だ。
つい数十年前の日本人は、普段の生活の中で当たり前に体験し、日々の忙しい生活の中で着物を着用し楽しんできた。外出着として、お茶やお花の会に、観劇に、そして四季折々の花々の観賞の折に・・・と、いろいろな場面で着物を楽しんできた。その日本人が着物を着なくなり、外国の人々は楽しんで着用される。
そもそも着物は着る物、普段に着用するものだった。1,000年以上の日本の歴史の中で使用されてきた衣装が、百数十年の間に洋服に変わってしまった。安価で便利で活動的な洋服は、まるで昔からあったかのように日本人に浸透してしまった。
外国人の目から見た着物は、どんな感じに受け止められるのか?そして、彼らの着姿を見て日本人は着物をどうとらえるだろうか?今、もう一度着物を見直す良い機会となるだろうか?

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