第771号 2013年11月26日「親父の教え No.6」

商いをしていると、色々な出来事がある。中でも、商品の値上がりは、お客様に販売する価格も値上がりするわけで重大だ。近々でも、羽毛ふとんの値段が2~3割上がり、仕入れ枚数や品質のチェック等に悩まされた。
40年くらい前のこと、反物が急激に値上がりしたことがあった。オイルショックだ。毎日のように値が上がると、仕入れ方は、売れ筋の商品の確保に躍起になる。消費者にも、そういう話はすぐ伝わるから、売上げも伸びるのだが、値上がりすればするほど品質は粗悪になるものだ。
正直屋は幸いにも(?)立地条件が悪く、そんな理由から、商品の在庫はいつも過剰ぎみだった。だが、その時の親父は、仕入れを一切ストップした。『絶対、仕入れをしてはいけない!』と。どこで聞いてきた話かわからないが、『いつか値段は戻るから、それまでは我慢しろ。高額な品を買い、高額な値段で販売するよりも、在庫を適切な値段で販売していればよい。』というのだ。
番頭は、その時困ったそうだ。本当に、後日、安価で提供できる品が出てくるのだろうか?トイレットペーパー事件の時と同じで、買いあさる小売店ばかりだったという。
その後、我店の在庫商品がきれいに無くなった頃に、値段は落ち着いたそうだ。
オーナーの決断は難しい。

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