第994号 2024年6月9日「古着売買について No.7」
私は昭和25年生まれだ。おばあちゃん子で、祖母から家業(着物屋)の話をよく聞かされた。戦中、戦後まもなくは、古着の売買もしていたらしい。鶴舞の地は、当時、名古屋のはずれ。結構お金持ちの人も多く住んでいて、そんなお金持ちの方が持ち込む品は質も良く、正直屋は良い古着を持っているという評判が広がり、よく売れたとか。
着物を米に替えた時代があった。だから、現在80代や90代あたりの人たちは、何かあった時のためにと着物を買っては持っていた人もあったようだ。しかし、今は違う。商品はいくらでもある。
今、古着を購入される方は、よほど着物が好きな方か、芸事や仕事で着物を着る機会の多い方々だ。一般の人が着物を着用するのは式服が多く、いくらでもレンタル屋がある。わざわざ他人が着た古着を買うことなど考えない。自分の好みに合った柄やサイズの品を探すことも大変だ。古着屋のほうも、売れるかどうかわからない品など、よほど安価でなくては在庫として置けない。難しい商いだ。