第918号 2017年10月27日「ボヤキ No.3」

常着として着物を着ない時代になって久しい。今でも着用されているのは、茶道や民謡等の習い事をしている方くらい。一般の方が着る機会といえば、冠婚葬祭くらいだろう。そうなると、一度着用してから次に着用するまでの期間が開くことが多いわけだ。
外出着と常着を分ける習慣があった頃は、その時々で、シミ抜き等の始末をしてから箪笥(たんす)に収納したものだが、現代は、いつでも外出着となるわけで、着物のお手入れをまったく知らないし、わからないのも当然だ。
相談できる着物屋がある方は、まだ対応が速いが、そうでない方だと、着用してから何年も経った着物をクリーニングしてほしいと持ち込まれる。着るのも初心者だから、結構汚していて、もうシミだらけ。おまけにカビまで生えているものを、『綺麗にしてほしい、それも安価で』と言われる。困ったものです。
汚れは、病と同じで早期発見、早期治療が大切なのです。ただ、夏の浴衣や冬のウールは安価なクリーニング店で、ポリエステルや麻ならご自宅で、というように素材によっては手軽に洗濯することも可能です。
夏に浴衣を着たことから着物好きになる若い方が少しずつ増えているとか。着物の楽しみ方を本で勉強するのもいい。着物屋さんで教えてもらうのもいい。まずは着慣れる、日々着ることです。

ページの頭に戻る