第809号 2014年5月2日「足袋 No.2」

809私の足は、巾が狭く、親指と人差し指の間が深く、おまけに足首が細い。だから、一般に売られている既製品を履くと、決まって親指の部分から破れる。それで、毎日着物を着るようになった頃から、別誂えで足袋を注文するようになった。
いろいろなメーカーで作ってみて、現在の足袋屋さんに落ち着いた。あれから20数年が過ぎた。何足注文し、何足履きつぶしてきただろうか?
穴が開いても、そのまま履いていたら、みっともないからと言って、母さんが裏地に帯芯を付けてくれた。裏生地に穴が開くだけで、他はどこも傷まない。さすが、別注品は、縫製も良い。
私の穴は、親指の裏だけだから、初めは、その部分だけの修繕でよかった。しかし、そのうち、裏全体を張り替えることになった。すると、新品同様になってしまった。帯芯を張るわけだから、滑りやすい。でも、柔らかくて気持ちがいい。
お年寄りのお客様に、そんな話をしたら、『私たちの年代は、皆、自分で足袋を作ったものよ。』と言われた。着物と同様、足袋も、何度もリフォームして、使用していたのだと教えていただいた。

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