第717号 2013年4月26日「単衣の魅力」

717日々暖かくなってきています。鶴舞公園では、白やピンクや赤のツツジがきれいに咲き誇っています。朝のラジオ体操に行くにも、薄いトレーナーでよくなりました。
そろそろ、着物も単衣を着用してもよい時期がやってきます。本当に着物の好きな方は、単衣が一番きれいとおっしゃいます。私のお客様の中にも、塩沢紬の白地ばかりを着用されていたKさん、小千谷紬のやわらかさがお気に入りだったYさんがいらっしゃいました。一旦好きになると、特定の産地の品や、あるメーカーの品ばかりを結局は選んでしまうということはよくあります。私も毎日着物姿ですが、選り好みが出来るような身分ではないものの、すべりの良い大島紬は大好きです。験(げん)を担(かつ)いで、『この着物には、この角帯を巻くとよく売れる』などと角帯や兵児(へこ)帯を替えて締めています。
盛夏までの一期間、単衣の着物の魅力を十分に堪能していただきたいと願います。ある雑誌社の編集長が、『私は3シーズン単衣よ!』と言って、業界の人に勧めておられましたが、普段は冷暖房の効いた室内で過ごし、移動も車という方なら、そういった考えになるかもしれません。暑い、寒い、湿気の有無など日本人として四季を楽しむ姿勢で考えるなら、季節ごとに、合せ、単衣、夏物の着物を着用することは普通のことと思います。暑い夏は汗をかき、寒い時には着重ねすることで日本人は生きてきたのです。

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