第687号 2012年12月26日「時流」

時流という波があり、その波にうまく乗ることができれば店は繁盛する。その時流を掴むことが難しい。オーナーの手腕が問われる。
親父は、難しい時代の流れの中で、良い人材に恵まれ、店を4店舗にまでした。私とはまったく意見も合わず、父が死ぬまで衝突ばかりしていた。従業員が良かったのだと生前は話していたが、現在の自分を顧みた時、親父のしてきたことが、その時代に合っていたから伸びたのだという気づきもある。立地条件の悪さをカバーするためにやり始めた『友の会』も、従業員の少なくなった現在では、集金業務もままならず、アフターフォローのメリットを活かしきれないでいる。ならば従業員を増やせばといっても、お客様にきちんと対応できる従業員を育てるのは難しい。車を1台与えて外販させるとなるともっと難しい。親父の時代は、車が10台以上もあった。どこの着物屋さんでも状況は同じだと思う。
どのように商いをするのか決断するのがオーナーの仕事だ。少しずつ振袖展開を強めた。インターネットに力を入れた。個店による栄での展示会を止めた。組合事業から撤退した。その都度、店の状況を考え、感じ取り、方向を決めた。難しい決断ばかりだった。これからも変化は続くだろう。現状をよく把握し、努力するしかない。何とか今の時流に乗りたい。

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