第607号 2012年3月6日「昔の話-私のこと No.1」

丁稚(でっち)奉公から無理矢理戻されて、いきなり招待旅行でお客様に紹介された。後はやることがない。番頭がお客様廻りで連れまわってくれるが自分の客ではない。仕入れに連れて行かれ、『商品を購入しろ。三年間も奉公に行っていたのだから、自分の好きなようにやればよい。』と言われた。何も思いつかず、何をしたらいいのかわからない。ふと展示会のチラシが余っているのに気づき、成人名簿(これから成人式を迎える人たちを掲載した名簿)を入手して、それを基に訪問することにした。その当時、店周辺は基本的に番頭の奥さんが廻っていたので、それ以外の地域を訪問した。奉公先は商店街の中にあったので、そんなことをしなくてもお客様はどんどん来店されていた。商いの方法が全く違う店で奉公していたことに気づいた。仕方がない。一からの出発が始まった。

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