きもの選びは友達探し、あなたの笑顔に癒される by かずまさ

目次はこちら(今までの記事一覧)

第713号 2013年4月12日「お店紹介 No.2」

713山田さんの紹介で、伊藤さんがお店に訪れた。玄関の前に立つと、
『伊藤様、ご来店ありがとうございます。山田様のご紹介と伺っております。確認させていただきますので、案内に従ってボタンを押してください。』
店の前に設置してある機械に生年月日や自宅の電話番号を入力してもらい本人確認をする。これでロボットが認識するので、2回目からは本人確認はしない。
伊藤さんが、『N-115番がいいわ。』と言うと、
『この商品のお仕立上がり合計金額は22万5千8百円です。初回ご購入については、クレジットカード払いか現金になりますが、いかがいたしましょう?』
『現金でいいわ。』
『精算ケースにお入れください。・・・完了しました。伊藤様は、身長158センチ、洋服サイズが11号ですので・・・』とサイズの確認をする。
『裄丈は1尺7寸8分、袖丈は1尺4寸にしてちょうだい。あとは、あなたが言ったサイズでいいわ。』
『かしこまりました。仕上がりは30日後になりますが、それでよろしいですか?』
『25日後の5月5日に着用したいんだけど。』
『かしこまりました。5月3日午前10時までに出来上がるよう手配いたします。ご来店いただけますか?それとも、納品いたしましょうか?』
『5月4日に来店するわ。』
『ありがとうございます。他に何かご質問がありましたら、フリーダイヤルへお電話ください。岡田が担当させていただきます。シミ抜き等のサービスもいたします。訪問回収サービスも行っておりますので、ご遠慮なくお申し付けください。』
『一枚洗い張りに出したいものがあるから、3日後の金曜日の午前11時頃に取りに来てくださる?』
人と人との交わりもあります。安心してください。
こんなお店いかがですか?

ページの頭に戻る

第712号 2013年4月9日「お店紹介」

玄関に立つと、『山田様、いらっしゃいませ。いつもありがとうございます。』というアナウンスが流れ、自動ドアが開いた。
その店に、店員はいない。勝手に着物を見て、欲しければ、『これを作って!』と言う。すると、『かしこまりました。山田様には、以前、小紋をご注文いただいていますが、それと同じ寸法でよろしいですか?』 『それでいいわ。』と答えると、『かしこまりました。お仕立上がり合計金額は27万3千円です。前回はカードでのお支払いでしたが、今回はいかがなさいますか?』 『同じでいいわ。』 『ありがとうございます。この機械にカードをお通しください。』
気に入った商品を見つけると、その商品にはQRコードがついていて、それをスマホでかざすと仕上がったスタイルの動画が見られる。また、商品群の色違い・柄違いもボタンひとつで流れてくる。もちろん人が着装した姿だ。その店にない商品で、現品が見たい場合、『Aの365番が見たい。』と言えば、『その商品は、一週間後に当店に取り寄せておきます。』とか、『その商品は、現在、欠品になっていますが、30日後には染め上がりの予定です。それでもよろしければお取り寄せしておきますが・・・』 『60日後に娘の優子が着るのだけれど、仕立てられるかしら?』 『はい。優子様の寸法はわかっていますが、そのままの寸法でよろしいですか?』
人がいない店。すべてロボットが受け答えする。お茶のサービスもある。過去のデータがすべて記録されていて、お客様の趣向に合わせ、お客様の好みの品を勧めてもくれる。新作の提案もする。
こんなお店はいかが?

ページの頭に戻る

第711号 2013年4月5日「昔の話-私のこと 番外編No.2」

老舗には、古い店としての味があり、伝統がある。良いしきたりも多い。だが、時代に合わないこともたくさんある。
正直屋も、昭和40年代から平成一桁までは、番頭を中心にした外商の店であり、商いも店で売るより展示会や外販が中心だった。和合に出店する際、古い住宅街と新しい住宅街の中間に出店した。その折に、親父、つまり社長に、『こんな場所より、駅の近くやショッピングセンターのほうがいいのに・・・』と言ったら、『お前は、番頭が信じられんのかー!』と一喝された。展示会に集客し案内するのが中心だったから、地の利はなくても良かったのだ。商店街にも入っていないので、チラシ等も単独で撒いた。これで89年続いてきたのだからえらいもんだ・・・などど思ってはいけない。
『正直屋』という屋号は厳しい。何かにつけ重石になっている。小さい頃、『うそつきやー!』とからかわれてきた言葉が、余計に重石になっている。だからこそ、今の自分がある。
現在、生き残りのための策として活用しているのが、ウェブとDM。親父が信じてきた番頭たちも、定年退職した。
自分の店の魅力とは何だろう?生命が続き、店が続く限り、私の永遠のテーマかな?『人生は、苦しきことばかり多きかな。』とつぶやいたら、母さんが、『何言っとるの!あんたは若い頃は好き放題遊んできて、年を取ったら糖尿だ、緑内障だとほざいて、仕事も他人任せで!もっと苦しまないかんわ!』だって。

ページの頭に戻る

第710号 2013年4月2日「問い合わせ No.5」

『きゃりーぱみゅぱみゅの振袖がウェブに載っているけど、商品は見られるの?』
『えっ!?』
ずい分前に、メーカーに画像の使用許可申請をしたものの、なかなかOKが出ず公開できなかったものが、やっとできるようになったのだな、という電話でした。
『商品は本店にありますので、いつでもご来店ください。』と答えた。可愛いと言うべきか、オシャレと言うべきか、私にはよくわからないが、今、超人気の20歳のタレントが着用している柄だ。『当店では、一地区一枚の限定販売、またはレンタルとしているので、なるべくお早めに来店されたほうがいいですよ。』と付け加えた。こんな振袖を着用し、真っ赤やゴールドやブルーの髪の毛にして、髪飾りも派手派手にしたら目立つだろうなぁ・・・。(私の独り言)
純古典の振袖も根強い人気があるものの、毎年、私にとってはビックリするような色・柄の振袖がお披露目される。特に、このような洋服感覚の品が、我々『着物業界』の新作に表現されて出てくることは、日本人の深さ、センスの良さが現代人に受け継がれている証拠で、とても嬉しい。時代の変化に対応し、新しいパワーとなることにワクワクする。当グループでも、CECIL McBEE や MURUA の商品が、さも当然のように自然に出て、また、誰でも着ることができることが素晴らしい。
次の新作は、どんな品が提案されてくるのだろう。楽しみだ。

ページの頭に戻る

第709号 2013年4月1日「歩くこと」

709和合店勤務の折、暇な時間を見つけて散歩をした。店から西方向の153広場(と書いてもわからない人ばかりだと思う)までが3,500歩。店から日進駅周辺までが4,000歩。割と近いんだなぁ。そうすると、毎日、鶴舞公園をぐるぐる回って一万歩というのは結構歩いているんだと思った。毎日のことだから、長い距離と感じていない。初めての道だと、ずいぶん遠くまで歩いたと思っても、意外にそうでもなかったりする。車なら2~3分程度の距離だから当然か・・・。歩くと、周りの景色も違う。散歩とはおもしろい。
私は眼が悪いから、側溝が一番恐い。以前は、歩道にも段差が多かったが、今はバリアフリーで、フラットな道が増えている。つまづかないような工夫がされているのだ。私のような人や、高齢者にはありがたい。
歩くことが、健康であり続けるための基本と思っている。なるべく時間を作って続けたいと思う。

ページの頭に戻る

第708号 2013年3月26日「卒業式 No.2」

3月は卒業式シーズン。当店では、今年も、美容室の方に店まで出張していただき、ヘア・メイク・着付をしてきました。毎朝のように当店スタッフも早出して、そのお手伝いをします。
ある時、午前6時半のお約束の方が、遅れて来店されました。当然、手を抜かない限りは、遅れた分だけ仕上がりも遅れます。しかし、そんな方に限って、『仕上がり時間は守って!』と要求します。そして、その要求にはキリがありません。勝手な話です。
今どきは、こんな方のことを『クレーマー』と呼ぶそうですが、そんな勝手な方の注文を聞いたばかりに、他のお客様にご迷惑を掛けてしまったことも、過去にはあります。成人式や卒業式当日に、『編み込み』を多く入れたヘアスタイルを要求されたりするのです。係にも、当日は時間のかかる作業はお断りするよう言っています。お客様にも、事前に繰り返しそのように説明しているのですが、何とも思わないようです。自分さえよければそれでいいと思っておられるのでしょう。困った話です。
『サービスの過剰』時代なのかもしれません。1時間かかる仕事を、45分でパーフェクトにするのは無理です。まずは、ご本人が約束の時間を守ればよいのです。細かい編み込みは、大変時間がかかります。事前に、美容室の方と打ち合わせをして、時間がかかるようであれば時間を多く取り、追加料金を支払えばよいのです。ルールを守るという基本は、大切にしたいですよね。
ヘア・メイク・着付をしてくれる美容室を紹介するだけなら、従業員は早出をしなくてすみます。正直屋では、着物の着装姿が少しでも良くなるよう、出来る限りのお手伝いをしたいと考え、店内にてヘア・メイク・着付を行っています。これからも、続けていきたいと思っています。

ページの頭に戻る

第707号 2013年3月22日「問い合わせ No.4」

長年にわたり取引していた名古屋のある問屋さんが、3月末日で廃業する。その店でしか扱っていない商品があり、今後はメーカーから直接取り寄せることになるので、お客様への対応が難しくなる。パンフレットを見て決められるお客様はいいのだが、そのようなお客様は少数で、実物を色々見てみたいのが本心だろう。名古屋の問屋さんも、私と同年くらいか、それ以上の方が多くなった。このように、どんどん減っていくのでしょうね。以前、京都のメーカーの職人さんたちの高齢化について書いたことがあるが、振袖は毎年新作を見られるが、小紋や紬の新柄は少ないように思う。ただ単に、私が見ていないだけなのかもしれないが・・・。
最近、来店されたお客様から、染め直しのご依頼があった。自分の着物を、お嫁さんのお祝い着用に仕立て直しをしてあげたいとのことだった。昔なら年に数回あった注文だが、現在は少なくなった。『自分のものだから、古いんだけど・・・』とおっしゃっていたが、きっと一流メーカーのものだと思う。新品同様に生まれ変わり、喜んでいただけるようにしたい。物を大切にする気持ちを伝えることは大事なことだ。お嫁さんも、きっと喜んでくださると思う。
*****
≪追記≫
6月末まで、洗い張り、染め直し、シミ抜き、丸洗い、等のキャンペーンを行います。基本的に、職人さん泣かせとなるので、やってはいけないバーゲンなのですが、暇な時期なので協力していただけることになりました。6月末日まで有効の『30%OFF お試しサービス券』を各店舗にご用意しておりますので、どうぞご利用ください。ただし、対象となるのは、お一人様2点限りです。フリーダイヤル0120-39-0529にお電話くだされば、サービス券の郵送もいたします。

ページの頭に戻る

第706号 2013年3月19日「花粉症」

毎年のことなのだが、3月中旬は花粉症に苦しむ。今年は特にひどい。
病院で薬をもらってきて、毎朝一錠ずつ飲んでいるが効かない。汚い話だが、鼻水が止まらないし、ノドはカラカラ。何も仕事らしいことはしていないといっても、こうひどいと困る。広告作成の作業をしようとしても、眼がかゆくて、ただでさえ見づらい文字が、ぼやけてますます見にくい。黄砂だ、PM2.5だとか、風が強い日はまったくダメ。もう一日中寝ているだけの人だ。それでも、定時になるとお腹だけは減ってくる。女房や従業員から見れば邪魔な存在だ。4月になれば、多少良くなるだろうか?
花粉症になって、もう十数年になる。薬を飲まないと、『ハークション!』とくしゃみの連発だ。他人にも迷惑がかかる。薬を飲めば眠くなる。一日中、ダラダラ、グダグダ。皆は、卒業式の袴の準備や片付けに忙しいのに申し訳ない。『マスクをすればいいじゃない!』と言われるが、何だかみっともないような気がする。『今のほうがみっともないわ!』と母さんは言う。もうしばらく続くのだろうか?イヤだ!イヤだ!

ページの頭に戻る

第705号 2013年3月15日「神様の言う通り No.4」

705心の中には、善良な神様もいるが、悪魔もいる。時々、気分がすぐれない時に、この悪魔がいたずら心を起こして悪さする。いつもなら絶対に言わないであろう言葉を吐く。そして相手を傷つける。気分が高ぶってくると、どんどん悪口がひどくなる。もっと相手を傷つける。どうしようもないところまで追い詰め、『どうだ!』と勝ち誇った態度を見せる。もう相手は、立ち上がれないほど心を病み、悪魔は喜ぶ。だが、善良な神様は、その時は見ているだけで止めようとしない。争いでは、悪魔に勝てないことを知っているからだ。しばらく神様は、その人の行動を見守る。少しずつ心が平常に戻ってくると、自分のしたことに気づく。子どもなら、すぐに『ごめんなさい』が言える。でも、大人になると、そこまで来ても言い訳をする。『あの時、あいつがあんなことを言ったから・・・』、『あの時、他人が見てたから・・・』 反省するまでには時間がかかる。じゅうぶん時間を取った後、自分が悪かったことがやっとわかる。でも謝れない。自分の方が年齢が上だったり、自分が上司だったりと色々な理由がある。そんな大人がいる。たくさんの悪魔を持っている。奴らは、いたずらが大好き。そんないたずらをやめさせるのが両親だ。小さい頃から、しつけて教育する。抱きしめて愛を教える。何かあった時は、そっと教え、答える。大きくなったら、少しずつ親の日々の姿を見せることで教える。そうすれば悪魔達は成長しない。いたずらをしなくなる。

ページの頭に戻る

第704号 2013年3月12日「御用聞き」

私も、40歳代の頃までは運転が出来た。現在は、一人で営業に行くことが出来なくなったので、顧客訪問をしても、世間話をして時間つぶしをするということは少なくなった。
正直屋も、振袖中心の販売店になり、カジュアル物の販売が少なくなった。着物好きの方は、シミ抜きや洗い張りを出される。そんな方々は、お茶が好きだったり、お年寄りの方も多かった。世間話もよくした。招待旅行などもやっていたから、その前後は、その話題も多かった。特に着物好きのお客様は紬を好まれた。塩沢紬の好きな方があり、その方は、単衣物の白地を何枚も購入された。『シボの感触がいい』と言っておられた。そんなお客様は、着物以外はほとんどデパートの外商を利用しておられた。着物の自慢話もよく聞いた。当店で扱っていない商品ばかりだった。大島紬を仕入れるようになったのも、昭和55年前後からだった。それまでは、高額で当店では売れなかった。バブル経済の時期と重なり、徐々に売れるようになった。観劇券のプレゼントなどもしていたので、着物を着て芝居見物にも行かれた。
現在の着物好きの方というのは、何か習い事をしている人くらいになった。しかし、そういう方ばかりでもない。お茶をやっておられるのだが、初釜の時とか、特別な行事の時にしか着用されないという方もある。着慣れていないから、本番の時に粗相をされた先生もあった。ばつが悪かったろうに・・・。こっそり我々御用聞きに預けた。
一人で営業していると、その家の表も裏もよくわかった。今考えてみると、恐ろしい仕事だ。だが、相談相手になれるくらい信用されていたのだ。気づかされることが多い。

ページの頭に戻る