第935号 2019年2月26日「平成を終えるにあたって」

平成が間もなく終わろうとしている。今年は新しい年号に変わるわけだが、平成の30年間は繊維関係者にとっては激変の30年だった。
平成に変わった頃は、まだ着物、特に常着のウール、紬、小紋もよく売れていた。
親父が亡くなった平成9年以降は、急激に状況が変わった。名古屋の問屋が、3年間で十数軒倒産した。当然、小売屋が集まって作った組合も解散した。
当店も、平成16年から番頭たちの定年退職が始まり、主力商品を振袖にする商いに変えていった。新しく入ってきた若い従業員たちに、着物のすべてを教えるのには無理があった。それまでは、外販と展示会での集中販売だったが、店売りの商いに変えた。
平成15年頃は、ウェブサイトを持たない店が多かったので、しばらくは Yahoo! でも Google でも検索トップページに定着できた。理解ある問屋さんの営業マンの紹介で、振袖グループにも入会することができ、振袖専門店として現在がある。
平成30年の正月明けに『はれのひ』事件が起きた。まさか、こんな事件が起きるとは考えもしなかった。
ここ数年、レンタル比率がどんどん高くなっており、新作振袖パンフを作ることに疑問を持ち、レンタルブックを作ってみたりした。佐川等の送料も値上がりした。まだ安価でDMを送れている店もあるとは聞くが、次第に高額になっていくと思われる。名簿の購入を控えてDM送付を減らし、情報誌や新聞への広告掲載に移行していこうと考えている。
ホームページにかかる費用も年々高額化し、費用対効果も低くなった。IT会社から要求される金額を出すこともできない。もし出せたとしても、それに見合うだけの成果が挙がらないことくらい、今までの経験から予想できることだ。
18才成人式問題も話題になっているが、新しい年号の時代に向け、着物屋として残るには、一番目に『着物好きのお客様』への対応、二番目に『婚礼』に関する対応、三番目は今の私の店では難しいが、『外国人』への対応かな?と思う。
少しずつ気づいた点から工夫して変えていきたいと思っています。

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