第909号 2017年2月22日「着付教室」

正直屋でも、昔は着付教室を開いていた。振袖ご購入のお客様には、特典として3ヶ月間レッスン料を無料にするなど、毎週開講していた。常に着物を着ている生徒さんもあれば、着物姿に憧れを抱いて習う人もいた。続けて通って先生にまでなられた人もたくさんいた。その中には、現在、着付師として成人式の日に来ていただいている方もいる。しかし、旅行会や観劇会など、着ていく場所や機会を我々業界の者が提案し続けてこなかったことから、次第に生徒は減っていった。
現在でも商いが成り立っている着付教室は、いろいろな努力をされてここまで続けてこられたのだろう。その中には、着物販売も含まれ、上手に行っている。お茶、お花や民謡等の習い事とは少し形態が異なり、趣味と実益を兼ね備えたのが着付教室だ。
フォーマルでしか着物を着ない方が多くなった。そうなると、着る側からすれば、着用日に綺麗に苦しくなく着せてもらえればそれでいいわけで、店としては、そのご要望にお応えできるプロの着付師を見つけて契約しておき、その時々に対応できればそれでいいのだと思うようになった。出来るなら、その時、ヘア・メイクも一緒にできれば、なお良いということなのです。でも、これは本当の着物好きを作ろうとしているものではありません。だから続きません。2020年の東京オリンピックまでは、とりあえずそんな商いが続くと思うのです。『着物姿ってカッコイイですね!』 そんな憧れをすべての日本人が抱きながらも着用者が減っていくのは寂しい限りです。でも、それが現実です。

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