第888号 2015年12月11日「今どきの商い No.4」

今夏は、着物の柄のことをFacebookに書き綴った。現在の私は、商いの場では、ただのオブザーバーでしかない。今の従業員は、接客の際、生地や柄の説明をあまりしない。(できないと言ったほうがよいのか)
着物好きのお客様の接客をしようものなら、昔ならまったく相手にしてもらえなかっただろう。そんな様子を横で見ながら、いろいろ思い出して考えた。
着物好きのお客様は、いろいろと教えてはくださるが、こちらの反応が悪く、一方通行だと感じたら、次はなかった。でも、若ければ若いなりに覚えようとする努力を見守ってくれた。
20年ほど前までは、名古屋には日本一の呉服組合があり、お互い競い合って知識を深めた。教えてくれる先輩たちもたくさんいた。勉強会もよく開かれていた。
だから、日々、いい意味で着物の宣伝をし合った。着用する機会を作ろうと、観劇チケットをプレゼントしたり、旅行会も行った。
しかし、次第に、組合も縮小し、同業の仲間同士で会うことも少なくなった。競って覚えた商品知識や応酬話法も忘れ、産地見学会、着物好きの後輩作りも怠った。
これから、時代はどう変わっていくだろう?着物は、フォーマルは残るだろうと言われている。しかし、カジュアル着物が売れなくなったら、いずれフォーマルも消えていくのだろうなぁ・・・と心配する。

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