第871号 2015年7月7日「テレアポ No.6」

店にいると、営業の電話がよく掛かってくる。『社長はおられますか?』とか、『〇〇の担当の方はおられますか?』とかから始まり、上手な口調で話される。ほとんどは、『いません!』と言って電話を切る。店舗名を言ったところで、『社長はおられますか?』と尋ねてくるところをみると、こちらが中小企業だということをわかって掛けてきているのだろう。
当店もテレアポをしているが、ほとんどが個人のお宅。当店に掛かってくる営業電話と同じ調子で、『奥様はおられますか?』と尋ねても、相手は『いません!』と、たとえ在宅であったとしても答えるのだろうなあ。
何度も何度も掛けてくる業者もある。夜の9時を過ぎていたり、朝早くだったりした時には、良い気持ちでの応対はできない。立場が変われば、対応も変わる。車の運転者の立場に立った時と歩行者の立場に立った時の心理と同じだ。
暗い気持ちであったり、嫌々電話をしていれば、それが相手に伝わると思い、なるべく明るく電話するようにしているが、これが難しい。プロの方のテレアポはさすがにスマートでいい。そうなりたいと願うが、なかなかなれるものではない。
30年ほど前は、電話ではなく、名簿を片手に地図を広げ、軒並み訪問した。雨の日などは、とても嫌だった。
訪問販売は、相手の顔が見えるので、気持ちが直接伝わってくる。相手も、直接こちらの姿を見て評価できるわけだから、それはそれで厳しく辛い面もあったが、購入していただいた時の感激は、今以上のものがあった。
当店は、現在、新規訪問の営業活動は行っていないが、今でもそのような方法で商いをされている店もある。それには感心する。ただ、最近は、留守宅が多いので空振りに終わることも多いようだ。
自分の店の理念、サービス、商品内容等をお客様にわかっていただくのは難しい。どんな手法を取ろうが、底辺に『私は着物が好きだ!』という気持ちがなければ楽しい仕事にはならないし、お客様にも着物の良さは伝わらない。

ページの頭に戻る