第869号 2015年6月22日「着たくなる日 No.2」

869我々着物業界の人間は、『着たくなる』ような商いをしているだろうか?経営者自身が着物に愛着を抱き、語り、商いをしているだろうか?商いは上手でも、その後のケアをまったくしない振袖専門店が多い。シミ抜きのこと、ヘア・メイク・着付のこと。
直線縫いの着物を曲線の体に綺麗に纏(まと)わせるには、まずは着慣れることが一番です。何度も着用しなくては、綺麗に着られるはずはないのです。
しかし、現代人は、着慣れるための練習などしません。だから、綺麗に着ることができないのは仕方のないことなのです。着崩れしないように補整具を用いて縛り付けるのです。苦しい思いをしたことだけが思い出となる成人式になってしまうのか?着付の上手な人に当たれば、そんな辛い一日を過ごすことなく過ごせるでしょう。そんな人も多くはいますが・・・。
成人式の前に一度でもいいから着用してみてください。歩き方や動きが洋服とは違うのだということが実感できます。それも、ただ着たり脱いだりするだけの練習ではなく、着装した状態でお茶をしたり、食事をしたり、散歩をしたりすればもっと着物に慣れてきます。そういう体験をしているうちに、着物を好きになり、『着たくなる』という気持ちになってくれればうれしいです。
『着たくなる日』のタイトルは奥が深い。しかし、日本人ならそんな体験をしながら着物を着用してほしいものです。理解できるようになってほしい。

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