第868号 2015年6月5日「着たくなる日」

数年前から取り組んでみたいと思っていた『着たくなる日』という振袖ブックを、ようやく今年取り扱うことになった。若い人に人気のMAGGYというモデルさんがメインに載っている豪華本だ。着物に興味のある人なら、いきなり捨てたりはしないだろう。
そのことについては次の機会に書くとして、タイトルの『着たくなる日』、このタイトルがとても気になるのだ。いったい誰がこんなタイトルをつけたのだろう?十数年前に名づけられたそうだが、おもしろい!飽きない!忘れない!何といっても、これを振袖ブックにつけたというところがいい。
未婚女性が、初めて正装として着用するのが振袖だ。もちろん、それまでの成長過程で、七五三や十三参りで着用した着物もあるだろうが、それらは大抵ご両親や祖父母が選んで着せてきた。だから、振袖が自分自身で選ぶ最初の着物となる人が多い。特に現代は、その傾向が強い。
成人というひとつの節目のセレモニーに、自らがセレクトした着物を着る。それが振袖なのだ。これはまさしく『着たくなる日』に着用したい私の振袖ではないか。憧れの着物だ。
自分が大人になった時、どんな女性になっているか?なっていたいか?誰もが夢見た理想の姿があると思う。小さな子供に『大人になったらどんな人になりたい?』と聞いた時、ワクワクしながら笑顔で答える。そんな子供たちの声が聞こえてきそうなタイトルだ。
ワクワク、ドキドキしながら振袖を選んで着用してほしい。そして、何度も長時間着てほしい。
着物を好きになってほしい。何度読み返しても飽きない童話のように。

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