第794号 2014年3月4日「サービス」

店で留守番をしていたら、『証明写真を撮ってほしい。』というお客様が来店された。外国人留学生なのか、日本語も片言。私のほうは、しばらく『・・・?』  『そうか!』と合点がいくまでに、少し時間がかかった。きっと、インターネットで調べて来店されたのだ。
『写真撮影』で検索すると、現在、振袖を取り扱っているきもの屋のほとんどが引っかかるだろう。それほど、『振袖の記念撮影』を宣伝しているわけだ。日本人なら当たり前に理解することが、外国人にはわからなかったのだろう。スーツ姿の男性だった。
婚礼の着付では、当然、ヘア・メイクも行うということから、近頃は、振袖の着付時にも、ヘア・メイクを受けるようになった。サービスの延長として考えていくと、いろいろな商いが広がる。毛皮やストール、草履バッグ等は、それぞれ専門店があり、商売として成り立っていたが、現在は、きもの屋が当たり前のように販売するようになった。
先日、鼻緒のすげ替えを頼まれた。草履の販売はしているものの、すげ替えまでは出来ない。それをメーカーに持参したところ、『古すぎて、草履の台も傷んでいる。鼻緒をすげている最中に、土台が壊れてしまうかもしれない。』と言われた。受けられない注文として扱った方がいいという回答だった。昔なら、このくらいのことは、草履屋の職人さんが、店先で会話をしながら替えてくれるような仕事だったろう。
サービスの延長線とはいえ、難しい仕事がたくさんある。お客様のためにも、目を養って、お客様の二度手間にならないようにしなくてはいけないと反省する。

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