第791号 2014年2月21日「親父の教え No.8」

親父は、酒が好きだった。どちらかというと、量は普通より少し多いくらいだろう。初めは、弱い方の部類。しかし、なぜか酒が強い人だと広まり、飲む機会も多かった。
お中元、お歳暮の頃になると、何十本と届いた。ほとんど買わなくてもよかったくらい。面倒見が良かったからだ。
寝室にも置いてあった。夜中に、また一杯飲むのだ。冷酒でコップ酒だ。こぼすから、畳が酒臭かった。
飲めないなら、盃(さかずき)は、少し斜めにしてお酌(しゃく)してもらうとよい、とか、コップ酒にすると、大概、相手は恐れてお酌に来ない、とかの話を、親父の飲み仲間から聞いたことがある。
飲めないなりに、いろいろ工夫していた。つまみは、あまり食べていなかった。これは、大酒飲みのパターンだ。着物がよく売れた時代だったから、宴会が多く、そんな光景の写真もよく見た。
そんな親父だが、私には酒は飲むなと指導した。しかし、私もそれなりの年齢になると、飲む機会が増え、26歳から始めた酒が、初めは弱かったのが、少しずつ飲めるようになった。
酒では、いろいろ勉強した。しかし、酒があったから、腹を割って話ができる仲間もできた。そんな仲間たちと飲む機会も少なくなった。ちょっと懐かしく思う。

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