第748号 2013年8月28日「ママ振 No.2」

ママ振の問題点の一つに、サイズ違いがある。ほとんどが、お嬢様の方が身長が高く、裄(ゆき:背中心から手首までの長さ)や身丈、袖丈も長い。
そんな時は、仕立て直しをするのだが、一度解(ほど)いて、作り直しただけでは、丈を伸ばした部分との間に焼けや汚れの線が残ってしまう。染み抜きをするか、ひどい場合は焼け直しをするのだが、時間もかかるし、費用が高額になってしまうこともある。
日焼けで、一番目に付く色は、紫やブルー等。年数の経ったものは、しまっておいただけでも色落ちする場合もある。きもの屋さんか悉皆屋(しっかいや:洗い張り等を専門に扱う業者)などに、一度、相談されるとよい。もちろん、正直屋でも取り扱っています。
振袖のように絵羽仕立てのものは、下前と上前を交換するわけにもいかないので、できる限り注意して着用していただくしかない。前もって撥水加工などをしておくとよい。
絹(シルク)は、動物性繊維の中で、一番水分を早く吸収し発散するという特徴を持っている。その特性を生かして上手に利用すれば、お祖母さんの品(半世紀前の品)でもじゅうぶん使用できる。
ただ、昭和20年以前(戦前)と比べ、現代の日本人の平均身長は10cm以上伸びた。昔は、袖丈が2尺5寸(95cmくらい)で、中振袖と言った。今は、背の高い人だと3尺(115cmくらい、これは本振袖と言う)の方もある。袖丈だけは長くすることはできないので、諦めてもらうしかない。仕方のないこともある。

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