第746号 2013年8月20日「単衣の魅力 No.10」

木綿(もめん)は、江戸時代に輸入された。他の繊維と比べ、安価で丈夫で暖かいことから、すぐ日本中に広まった。
愛知県では、蒲郡や西尾地区の三河木綿が有名だ。きもの業界では、三河芯として、帯芯によく利用している。組織を工夫し、もっと丈夫にして柔道着に利用したり、バッグ等にも使用されている。
他に、愛知で木綿を利用したものといえば、やはり有松絞りだろう。これは、有松の宿場で、布巾(ふきん)に絞りを入れたことから、手ごろな土産物として人気となった。その後、浴衣や絹の着物にも絞りを入れるようになった。軽いしコンパクトに収納できるので、お伊勢参りの土産としては、最高のものとなった。近頃は、職人さんの高齢化や、安価な外国産が入ってきたりで、作られる数が減り続けている。日本の文化を残す意味でも、絞りに興味を持ち、アートの分野や、洋服でも和服でもいいから着るものとして、またはその一部としてでも生かし、残していける道を作ってほしいと思う。

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