第743号 2013年8月6日「単衣の魅力 No.8」

743先日、お客様からの問い合わせで、『7月末の結婚式の際、菊の柄の訪問着はダメですよね?』というのがあった。『7月末に合せを着るわけですね。』・・・こういう質問は実に困る。基本的にはダメに決まっているからだ。
会場の空調設備の発達で、四季がなくなってしまった。真夏なら、本来、絽の訪問着を着なくてはいけない。黒留袖も、夏用の絽のものがあるが、ほとんどの方は冬用を着用されているのが実情だ。その場で着て、用が済めばすぐに脱いでくるのだから、冷暖房が整っていれば季節など考える必要はないわけだ。我々業者も、いつの間にか夏物の存在を忘れてしまっていて、年中、冬物を販売するようになってしまった。礼服は、年にそれほど着用するものでもないから、昔でもレンタルは多かった。夏の葬儀に、冬物を着装される方はいないと思うが、時期的にはそうも言えない場合もある。
7月末の結婚式の席に、菊の柄の合せ着の訪問着を着るという話、結局どうされたのかはわからない。ただ、時期を考え、質問されてきたその方の感覚について、我々業界人はもっと真剣に考えなくてはいけないと思う。季節感のない着物が、最近特に多い。お祝い着は、いつでも着られるよう四季の花を付ける。特定の時期のお祝いのためだけに別誂(あつら)えする。それは、やはりおしゃれの基本だと思うのだが・・・。

ページの頭に戻る