第737号 2013年7月12日「単衣の魅力 No.3」

737浴衣といえば藍染。藍一色のものや、白地に藍色の柄の入ったものは、飽きがこないので人気が高い。帯を替えることで、長年にわたって着用でき、おしゃれも楽しめる。すっきりしているので、暑苦しく見えない。
そんな藍染の浴衣に、トンボやひまわりの柄が染められていると、季節感も出て輝く。花火や金魚、朝顔、波など、日本人は着物の色や柄で目を楽しませ、夏の暑さを凌いだ。お祭りでは、その地域の人たちで、揃いの柄を染め、豊作を願い、恵みの雨を願って踊った。
生地の工夫として、綿の糸に麻や絹を入れたりした紅梅(こうばい)という織り方がある。肌にサラッとして、とても気持ちがよい。また、織りを工夫した羅(ら)織とか、紗(しゃ)や絽(ろ)とか、涼しく感じさせるために、透けて見えるような織り方もある。
着物文化の歴史は古く、過去の日本人の感性は、夏の暑さを楽しんできたようにも思われる。現代は、エアコンの普及で、暑かったり、寒かったり、ジメジメしたりという、その時々の気候を常に体感することはなくなってしまった。この夏、昔の生活を一度体験してみるのも、楽しくていいかもしれませんね。

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