第690号 2013年1月8日「お正月」

昔の正直屋の正月風景は、朝11時頃に始まった。
着物を着用し、まず内輪だけで挨拶をする。家長が新年の挨拶をし、お屠蘇(とそ)を少々飲みながら雑煮をいただく。年賀状を見ていると、昼頃から番頭夫婦や従業員、兄弟たちが挨拶に来る。すき焼きの用意をしながらお酒が振舞われ、おせち料理をつまむ。親父は、番頭たちと商いの話をしたりして、次々と相手が替わっていく。昔勤めておられた先輩の番頭さんたちとは、組合の話や業界の話、店の様子の話で盛り上がる。私たち一家は、暇な時間を見つけて、子どもたちと近くの氏神様へお参りに行く。帰ってくると、子どもたちにはお年玉。一日中お客様が出入りし、賑やかだった。
平成9年に親父が他界し、平成11年に母が亡くなってからでも、平成16年までは続けていた。子どもたちも成長し、番頭たちも定年で退社し、現在は家族だけの静かな正月になった。
人が集うことは大変良いことだ。時代も変化するし、家庭内の様子も変化する。また出来るようになったら再開すればいい。

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