第663号 2012年9月25日「母」

秋ですね。朝の散歩時は、とても気持ち良く感じられます。
9月生まれの私は、昔、お袋に『涼しくなってから生まれたから親孝行だね』と言ったことがある。すると、『お腹に子どもがいると暑いんだわ。お前さんは、夏の暑い間お腹にいたから大変だったよ。』と反対に叱られた(?)何も知らなかったんだな、とその時思った。
そんな私も62歳を迎えた。兄弟が多かったのと、家業が忙しかったのとであまりかまってもらえず、親との縁が薄いと思いながら成長した。我が子たちもまったく同じだったか?『いや、そんなことがないよう、夏休みも冬休みも旅行に連れて行ったりしたじゃないか。』と思いながら、近ごろ、母親のことをふと考える。
自分はお祖母ちゃん子になり、毎日の食事の世話も進路のことも母には何も相談してこなかった。振り返ってみると少し寂しい。今ごろ気づいても仕方のないことなのだが、亡くなってから気づくことの方が多いのかもしれない。
『あのね、あのね、今日○○君がね、○○の話を・・・』『お袋、俺この高校へ行きたいんだが・・・』『この人と結婚したいんだが・・・』いくらでも甘えられたのに、いくらでも相談し、意見が聞けたのに、そんな時間を持たなかった。一度だけ過去の会いたい人に会わせてあげる、などという機会があったら、お袋にあれこれ相談してみたい。お袋は優しいから、きっと『お前の好きなようにしたらいい』と言うんだろうなぁ。

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