第639号 2012年6月29日「昔の話-私のこと No.17」

『東海呉服友の会』というのは、昭和50年代に通産省に前払式証票の届け出をし、お客様から積立金を集め、満期が来ると特典を付けてきもの等の商品を購入していただくという組織だった。平成9年の正月明けから、会合には私が出席するようになっていた。
ある時、女性事務員による横領が発覚した。7年間も事件が発覚しなかったのは、犯人がそれだけ権限を持っていたということで、役員も8人いたが、監査が出来ていなかった。会計士も丸め込まれてしまっていた。完全解決まで6年かかった。真面目なきもの屋さん達に大きな損害を与えてしまった。悲しい出来事だった。
友の会残金に不信を持ち始めて、番頭と2人で事務所に行った時のこと。帰りの車の中で、番頭が『あの女性は絶対横領しとるから自信を持って追及しろ!』と言った。『なぜそんなことがわかるのだ?』と尋ねたら、『そんなこともわからんのなら、この商売をやめろ!事務員の給料であんな服装や宝石がつけられるか!?』
この言葉は、商いの基本を教えてくれた一言だった。

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