第583号 2011年11月29日「羽織紐」

近ごろは、着物を着るというと式服が多く、会場となるホテルや式場で着せてもらい、式が終われば脱いで帰宅することになる。そうなると、コートや羽織・雨コート類も必要なくなるわけで、売り上げのこともさることながら、着姿を街で見かけることが少なくなり、普段着用している方たちも世間体を気にして着用回数が減るという悪循環が生じる。その点、民謡をされる方は家から着用され、そして人前で踊ることで着物の宣伝もしてくださっているのでありがたいことです。そんな方々に少しでも協力できればと常々考えています。
先日、和合店にて羽織の紐(ひも)が続けて2本売れ、ちょっと驚いた。1本目は紬(つむぎ)の羽織で、2本目はお祝い用の黒絵羽織に利用されるということだった。汚れたのか、派手になったのか、失くしたのか、その理由はお聞きしなかったが、羽織紐を購入されるということは羽織を利用されているということで、とにかくそれが嬉しかった。
お正月まであとわずか。昔なら今ごろは、どんな装いでお正月を迎えよう、初詣は?初釜は?初出勤は?と考え楽しんだものだ。今でもそんな方もあろうかとは思うが、着物好きなお客様との会話がもっと楽しく続けられるレベルの業界人でありたいと思う。

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