第574号 2011年10月26日「仕立物」

『近ごろは腱鞘(けんしょう)炎になるほど仕立物を預かっていない』と仕立屋さんにお叱りを受けそうだが、昔はちょっと無理をされたり、硬くて厚い生地の帯の仕立物をされる方はよく腱鞘炎になり指をさすっておられた。
指の関節が痛くなるのか?無理をするというのも、我々が急ぎの仕事を持ち込むからだと申し訳なく思う。
仕立屋さんの数は毎年減っている。高齢化の関係もあるが、今は、洗い張りをして、仕立て直しをしてまで着物を着られる方が少なくなったからだ。以前は、八掛をすり切らしたり、袖口を破ったり、前身が薄くなったりすると、洗い張りをして生地の組織を元に戻してからリフォームして着たものだ。
私も着物を着るようになって20年が過ぎた。たくさんの思い出の着物も増えた。

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