第534号 2011年5月20日「祖母」

『トイレの神様』という歌が流行しています。ひとりでその歌を聴いていたら涙がこぼれた。
私もお祖母ちゃん子で、特に中2から就職するまでの9年間は住まいも一緒だったので、食事のことやら朝の起床、進路の相談など、両親よりも深く関わっていた。学生時代はよく遊んでいたから、友人が泊まっていったりするとその世話まで、と生活のすべての面倒を見てもらっていた。丁稚(でっち)奉公から帰ってきて、結婚して子どもができ、その子どもの面倒もよく見てもらった。彼女がいなかったら子ども達は今のように育ってはいなかっただろう。
ある時、仕立物のことで彼女といさかいになり、その係りを辞めてもらった。誰でもいつかはリタイアするのだが、仕事を取り上げられるほど残酷な仕打ちはない。そんな思いを60歳までずっと持ち続けていた。自分勝手なんだな。祖母はもういない。今ごろ言っても遅いのだが、墓参りに行って謝ってこようと思う。

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