第263号 2008年 5月30日「おつづきいかがですか?No.4」

そのお客様は番頭からの引継ぎの客であり、番頭からは「うちではウールやモス、せいぜい正絹なら長襦袢ぐらいしか買っていただけない」と聞いていた。伺う様になってその謎が悔しいが解けた。
『この商品どんな品か判る?』『こんな品は正直屋にはないでしょう?』・・・その通り・・・そのお客様宅へ伺う回数が減った・・・しかし着物好きで毎日着ていらっしゃるお客様宅には、商いになるから伺わなくてはいけない。
その客の気質にも慣れ、わからない商品は問屋で教えてもらって仕入れることも出来る様になり、『この品は琉球絣というのョ!!』「そうですか!!」『これは塩沢紬というのョ!!』「はい!!判りました」・・・となり、やっと真面目(まとも)な取引が出来る様になった。そうなると、もう一軒の呉服屋さんは訪問されなくなってしまった。
商いの基本部分でいう”シミヌキ”、”洗いはり”等はすべて当店で行っていたから、訪問する用事がなくなってしまったのだ。
その後20年以上に渡り、色々勉強をさせていただいた。このコーナーに4回にも渡って『おつづきいかがですか?』と書いていると、その内に夢の中で『おつづきいかがですか?』って言われそうで・・・でもおいしい抹茶だったナァ~。
もう一度飲みたい。

ページの頭に戻る